今回紹介する新書 視覚化する味覚: 食を彩る資本主義 (岩波新書 新赤版 1902) 作者:久野 愛 岩波書店 Amazon 出版社:岩波書店 発売日:2021/11/22 レビュー 食物と視覚の関係を研究する感覚史を解説する一冊。 150年前の絵画に描かれたバナナには、表面が黄色いものと赤いものがあります。現代の私たちは、バナナと言えば黄色であり、逆に黄色でないバナナは「不自然」で美味しくなさそうに思うでしょう。しかし、本来バナナには、自然なものとして赤と黄色の2種類が存在しました。にもかかわらず、資本主義の潮流の中で、赤いバナナは「自然」でないものとして淘汰されていった歴史があるのです。 …