江戸・東京市民の楽しみ(昭和時代)230神風号で持ちきりの十二年の春 この年の春は、“神風号”(九七式司令部偵察機)で持ちきりであった。神風号は昭和十二年四月六日、立川飛行場からロンドンへ15,357kmの飛行を、十二日に着陸し成功させた。国産の飛行機による長距離飛行は、偉業として世界中の賛辞を受けた。 その十二日の新聞は、「“神風号”の制覇に渦巻く歓呼」さらに、「勇士の家・塚越家 燈の海で包まる 昨夜・町民の提燈行列」の見出し、「地元の南町会、青年団、国防婦人会等の提燈行列の大群衆」とある。 さて、このような五百もの提燈行列、どのようにして可能なのか、どこから費用が出ているのか。飛行の成功は…