2014年7月、績文堂出版から刊行された長谷川政正國(1947~)のエッセイ集。表紙は藤牧義夫「まくら橋」。 墨田ゆかりの詩人たちがつむぐ水土への郷愁 言問の路地の吟遊詩人辻征夫への追慕 『すみだ春秋』で伝えたかったのは、このことだったのかもしれない。 畏友小倉明は、「老いや死がかたどる時代への挽歌だな」と指摘してくれたが、まさに歳月茫々、人は去り詩は残る。 東武電車で通るたび、「業平忌赤き蒲団の干されけり」(高柳重信)という俳句を想起させた由緒ある「業平橋」の駅名は「とうきょうスカイツリー」に変わってしまった。だが、辻征夫の名詩「東武伊勢崎線歌」のなかで、永遠に「なりひらばし」は生きつづける…