井上達夫『共生の作法-会話としての正義-』(7) 今回は、第1章 正義論は可能か 第4節 相対主義 の続き(p.20~)と第5節 「それで?」である。 第4節の続き(非認識説)はパスして、第5節 「それで?」を読んでもいいだろう。 非認識説 価値相対主義の論拠は何だろうか? 井上は、①確証不可能性、②方法二元論、③非認識説 の3つをあげていた。今回は③の非認識説についてである。 非認識説によれば、価値判断が客観的に真でありえないのは、そもそも、それらが「判断」ではないからである。即ち、それは、そもそも真偽が問題になるような「認識」の問題ではない。 それでは何なのか? 古典的な価値相対主義者は、…