俳人。浮世草子作家。 別号は鶴永、二万翁。本名は平山藤五。 商人の町、大坂(現在の大阪市)で1642年(寛永19)に生まれた。 革新的な俳諧師として活躍する一方、浮世草子の作者として『好色一代男』や『日本永代蔵』など、人間の欲望や享楽的な生活を描いた作品を数多く発表した十七世紀末の天才的町人作家である。 1693年(元禄6)のこの日、52年の生涯の幕を閉じた。
<著作>
『好色一代男』『好色五人女』
『武家伝来記』『武家義理物語』
『日本永代蔵』『世間胸算用』
『西鶴諸国ばなし』
『◇取り付く島もない (日本のことわざ) 井原西鶴(さいかく)『世間胸算用』が語源であると言われる。二つの意味があり、一つは話しかけている相手がそっけなく話を膨らませるきっかけがないこと、もう一つは頼りとするよすががないことである。 取り付く「暇」ではなく、また、島は海に浮かぶ島ではない。島とは「頼みとすること」「よすが」といった意味合いがある。また一説によれば、「四方から見える山」を省略したものと言われている (「和句解』)。似た言葉としては「けんもほろろ」(けんはキジの鳴き声、ほろろはキジが羽ばたく音)がある。』 これは、人との対話の場面で、たまに起きることです。 話しかけても、素っ気なか…
それでは、最後に、お七という人物は、本当に存在していたのかについて、先行研究、特に、矢野公和氏(矢野公和「「八百屋お七」は実在したのか」『西鶴と浮世草子研究』4 笠間書院 2010)と、有働裕氏(「「お七」再考」『文学・語学』215 2016-04)の論考を踏まえて、解説しようと思います。。 結論から言いますと、お七という人物は存在していなかったと考えざるを得ません。 現在残されているお七の資料は全て、『好色五人女』の影響を受けて、『好色五人女』以降に書かれたもので、同時代のお七の資料は一切存在しないのです。 確かに、『好色五人女』以前に出版された、西村本『好色三代男』や、当時の記録の戸田茂睡…
今にも死のうとしている吉三郎に、お七の母親が何か囁《ささや》いたら、吉三郎はあっさりと自害を止めて出家し、八百屋お七の物語は終わります。 お七の母親が囁いた内容が全く書かれていないために、お七の母親が吉三郎に何と言ったかが長年の謎とされています。 これまでには、次のような説が唱えられてきました。 【お七の母親の囁きに関する先行研究一覧】①信多純一氏(「古典と西鶴」『文学』46-8 1978-08)『好色五人女』の最終章は、『伊勢物語』第五段をふまえて書かれていて、二つを照合すると、お七の母親親が囁く箇所は、『伊勢物語』の「あるじゆるしてげり」に対応する。※[補足説明]お七の母親親は、吉三郎に「…
西鶴とくれば、即座に井原西鶴の名が浮かぶ。 この小説は西鶴とその娘おあいの人生を描いた伝記風時代小説。井原西鶴の名と代表作の書名のいくつかは知っているが、西鶴の伝記を読んだこともなければ、その代表作を読んだ事もない。概説紹介文で知る程度。なので、この小説の史実とフィクション部分の識別はできない。 この小説は、娘・おあいが父西鶴を心の眼で眺めた姿とその人生の変転・生き様を描き上げるというアプローチをとっている。おあいが、父と己との関係、そして父西鶴を客観視する観点で描かれて行く。「心の眼で」と記したのは、おあいは最初はおぼろげな視覚があったのだが、それすら失い盲目となっていたからだ。 娘の将来を…
吉三郎は、お七の後を追って死のうとしますが、止められてしまいます。 『好色五人女』巻四「恋草からげし八百屋物語」[貞享三(1686)年刊、井原西鶴作]好色五人女 5巻 [4] - 国立国会図書館デジタルコレクション 【原文】【現代語訳】 是非《ぜひ》無く常《つね》なる部屋に入りて、人〻に語《かた》りしハ、 どうしようもないので、吉三郎は自分の部屋に籠って、人々に、「然《さ》ても/\、我が身ながら、世上《せじやう》の誹《そし》りも無念《むねん》なり。「それにしても、自分がやらかしたことですが、世間でディスられるのは悔しくて仕方ありません。 若衆を立てし身の、由無《よしな》き人の憂《う》き情《なさ…
恋の病に伏せる吉三郎に、お七の死は知らされぬまま、月日が経っていきますが。。。 『好色五人女』巻四「恋草からげし八百屋物語」[貞享三(1686)年刊、井原西鶴作]好色五人女 5巻 [4] - 国立国会図書館デジタルコレクション 【原文】【現代語訳】 様子《やうす》有つての俄坊主《にハかぼうず》 諸事情により急遽《きゅうきょ》出家しました 命程《いのちほど》賴《たの》ミ少なくて、又つれなき物ハ無し。 命ほど頼りなくて、思うようにならないものはありません。 中/\死ぬれバ恨ミも恋も無かりしに、百ヶ日に當《あた》る日、枕《まくら》始《はじ》めて上がり、杖竹《つえだけ》を便《たよ》りに寺中《じちう》静…
私 もし日本永代蔵にAIの話があったら どんな話かあらすじを教えてちょうだい Gemini それは面白い趣向ですね。もし井原西鶴が元禄の世にAIの噂を聞きつけ、『日本永代蔵』の一節を綴るとすれば、きっとこのような話になるでしょう。 『世はAIの算盤、人は心の帳面』 元禄の世は、商人の才覚こそ家蔵を肥やす第一と申す。されど、算盤の玉を弾くこと能わず、ただ座しておるだけで富を得る奇談があったとかや。 摂津の国に、勘定は苦手なれど、人柄の良さで生計を立ててきた小物問屋の善兵衛という者がおった。ある年の秋、胡散臭い唐物商人から、「世の理(ことわり)と人の心を見通す、万能算盤(ばんのうそろばん)」という…
吉三郎に会いたいばかりに放火をしたお七は、あっさり捕まって処刑されてしまいました。 『好色五人女』巻四「恋草からげし八百屋物語」[貞享三(1686)年刊、井原西鶴作]好色五人女 5巻 [4] - 国立国会図書館デジタルコレクション 【原文】【現代語訳】 其れハ昨日、今朝見れば塵《ちり》も炭《はい》も無くて、鈴《すゞ》の森《もり》、松風ばかり残《のこ》りて、 お七の処刑はもう昨日のことで、今朝見ると、焼かれたお七の塵も灰も無くて、鈴が森に吹く松風しか残っていません。 旅人《たびびと》も聞《き》ゝ伝へて、只は通《とを》らず、廻向《ゑかう》して其《そ》の跡《あと》を吊《とぶら》ひける。 お七の処刑を…
今回から第四章ですが、わずか2ページで話は急速に進みます。 『好色五人女』巻四「恋草からげし八百屋物語」[貞享三(1686)年刊、井原西鶴作]好色五人女 5巻 [4] - 国立国会図書館デジタルコレクション 【原文】【現代語訳】 世に見納めの桜《さくら》 この世で見納めの桜 其れとハ言はずに、明暮《あけくれ》女心の墓《はか》なや。 吉三郎への恋心を誰にも言わずに、朝から晩まで思い悩む女心はむなしいものです。 逢ふべき便《たよ》りも無けれバ、或る日、風《かぜ》の激しき夕暮《ゆふぐれ》に、日外《いつぞや》寺へ逃げ行く、世間《せけん》の騒ぎを思ひ出して、 吉三郎に会う方法も無かったのですが、ある日、…
お七の両親は、姪の出産を知らせを聞いて、あわてて出掛けます。 留守番のお七が里の子の様子を見に行くと、里の子の正体は吉三郎と判明したのでした。 『好色五人女』巻四「恋草からげし八百屋物語」[貞享三(1686)年刊、井原西鶴作]好色五人女 5巻 [4] - 国立国会図書館デジタルコレクション 【原文】【現代語訳】 吉三郎も面《おもて》見合はせ、物ゑ言ハざる事 暫《しばら》く有りて、「我、斯《か》く姿を変へて、せめてハ君《きミ》を仮初《かりそめ》に見る事願ひ、宵《よひ》の憂《う》き思ひ、思し召しやられよ」 と、始めよりの事共を、都度《つど》/゛\に語りけれバ、 吉三郎もお七と顔を見合わせ、しばらく…