1932年生まれ栃木県出身。東京大学院比較文学博士課程修了。 明星大学教授。日本における妖精学の第一人者。ケンブリッジと オックスフォードの客員教授をへて、英国本島のコーンウォールに移住。 妖精美術館(福島県金山町)の館長も務める。
主な著書に「ケルトの神話」「「妖精の国」「妖精の系譜」「ケルト妖精学」など 主な訳書には「ケルト妖精物語」「ケルト幻想物語」「ケルトの簿明」など。
前回、幽霊の話ではなく映画の話を書いた。 minakomovie.hatenablog.com でもこの前、某コンペに出した中編脚本は幽霊が出てくる話にした。 のっけからなんのことやら、という感じではあるが「見えないものをガッツリ見せる」脚本を書いたなぁ、っていう話。 幽霊の映画と言えば、私は黒沢清監督の作品が好きだ。しっかりとホラーな作品もあるし、そうでないものもあるけども。 私の中で「世界のクロサワ」は「キヨシ」だ。 黒沢監督の『降霊』という作品がある。この作品に出てくる幽霊が「リアルだ」と話題になったことがあった。何をもってしてリアルなのか。複数の意味でリアルじゃないものに何を言っている…
僭越ながら私が編集長をしております「ナイトランド・クォータリーvol.29 サロメ、無垢なる誘惑者の幻想」が、2022/6/29頃に発売。サロメとファム・ファタル表象を軸に、幻想文学とセクシュアリティを問い直す試みです。 幻視者のためのホラー&ダーク・ファンタジー専門誌《ナイトランド・クォータリー》。 vol.29の特集は「サロメ、無垢なる誘惑者の幻想」。 19世紀末、ワイルドとビアズリーによって、ひとつの物語として再構築されたサロメ。 それは人々を魅了し、現在でもさまざまな分野でオマージュされ続けている。 そのサロメや、ファム・ファタル=運命を狂わせる女をモチーフにした物語の数々を特集!〜〜…
岡和田さんにドイル『妖精の到来』を恵贈されたので、ついでにと氏の編集する「ナイトランド・クォータリー」の増刊号を読み、他にドイルの積んでた小説を幾つか読んだのでまとめて記事にしておく。『失われた世界』と『妖精の到来』は去年読んで一度ブログ記事にまとめたけれど、本当は増刊号などもまとめて一つの記事にしようとしたのに時間がなかったために中途半端なものになってしまったものなので、最初の二冊は過去記事とも同一文章。 アーサー・コナン・ドイル『失われた世界』 失われた世界【新訳版】 (創元SF文庫)作者:アーサー・コナン・ドイル東京創元社Amazon南米の台地に恐竜の生き残りがいるという情報を得たチャレ…
今回は、いつもと趣向を変えて、英語圏での調べものについて。 昨晩、共同通信のフォトグラファーで、先日までウクライナに取材に入っていらした原田浩司さんの下記のツイートを見た。 うーん、無意味ではないと思うな。ウクライナでは、日本のように折り紙を飾る習慣があるらしく、殉職した兵士を慰霊するリビウの聖ペテロパウロ教会には、大量の折り紙の花等が遺影のそばにぶら下げられたりして飾られてあった。無意味だと批判する人たちは、ウクライナに見に行ってごらん。 https://t.co/oj7dJXtuH4 — 原田浩司/ Koji Harada (@KOJIHARADA) 2022年4月19日 私の見る画面内で…
◆『ニュー・ゴシック―ポーの末裔たち』鈴木晶・森田義信編訳 1992年刊行の日本で編訳された本。「偉大なアメリカ小説(グレート・アメリカン・ノヴェル」の伝統から長編を中心としてきたアメリカ文学の歴史が、1960年代以降変質して短編小説が大きな潮流となった。描かれるものも日常的なものが多くなり、そのなかでリアリズムからはみ出すものも出てきた。というような流れで、編訳の鈴木晶氏がそういった「現実のなかの隠された部分」を「ニュー・ゴシック」と名づけ、アンソロジーとして成立させたという経緯のようだ。ちなみにこれは新潮社から出ているが、同じ年に福武書店から出た『幻想展覧会-ニュー・ゴシック』1・2はパト…
極私的回顧第30弾は幻想文学です。毎年同じことを書いていますが、SF・ファンタジー作品の中でも幻想性・文学性が髙いと思ったもの、および文学・文藝作品で幻想性が髙いと判断したものを配しています。作品数が少ないので、内外の作品を取り混ぜて扱っております。また、いつものお断りですが、テキスト作成のために『SFが読みたい』およびamazonほか各種レビューを参照しております。
「ナイトランド・クォータリー」vol.28、定期購読者に同梱されるペーパー「ナイトランド・クォータリー・タイムス」issue13のご紹介。1面につき原稿用紙5枚ほどの紙幅があり、それが8面ぎっしりと埋まっており、本誌をサポートします。ちょっとした全集月報以上のボリュームと密度があります。 1面は、「ユードラ・ウェルティ「クライティ」の孤独なゴシック世界」(岡和田)2面は、『The Art of Thai Comics』評(深泰勉)。3面は、「陰陽師小説集のニューウェーヴ」と題し、小松左京・高橋桐矢『安倍晴明』と上田早夕里『播磨国妖綺譚』論(岡和田)に中国における陰陽師表現(徳岡正肇)。 4面「…
僭越ながら私が編集長をつとめております「ナイトランド・クォータリー」Vol.28「暗黒の世界と内なる異形」、3月10日頃発売です。書店用ポップもできました。 ナイトランド・クォータリーvol.28 暗黒の世界と内なる異形 作者:マイクル・ムアコック,ナンシー・A・コリンズ,ティム・ワゴナー 書苑新社 Amazon 以下、公式サイトより引用。 A5判・並製・192頁・税別1700円ISBN 978-4-88375-465-6発行=アトリエサード/発売=書苑新社(しょえんしんしゃ) 幻視者のためのホラー&ダーク・ファンタジー専門誌《ナイトランド・クォータリー》。vol.28の特集は「暗黒の世界と内…
こんにちはごきげんよう。 今回は、12世紀のイギリス、サフォークのウルフビットにて妖精の子どもが発見されたというお話です。 ある日のこと、農家の人たちがとある洞窟の入り口で、全身薄い緑色の肌をした子どもが2人保護されました。 2人はとてもおどおどしており、こちらの言葉は子どもらに通じず、また子どもらの言葉も農家の人たちには通じませんでした。 困った農家たちは、サー・リチャード・ド・カーンという騎士の元に連れて行きます。 子どもたちはお腹をすかしている様子だったが、肉にもパンにも手をつけず泣いてばかり。 そんな中、偶然たくさんのそら豆が運び込まれます。 すると子どもたちはそら豆を食べたそうにして…
1/29(土) その1心を病むという表現に違和感を覚える。心自体が一つの病のように思える。 1/29(土) その2・ギャビン・ライアル『深夜プラス1(新訳版)』(訳:鈴木恵 ハヤカワ文庫NV 2016.4)・W・B・イエイツ(編)『ケルト妖精物語』(編訳:井村君江 ちくま文庫 1986.4)・『ポオ小説全集4』(訳:丸谷才一 創元推理文庫 1974.9)・『ラヴクラフト全集4』(訳:大瀧啓裕 創元推理文庫 1985.11)を買った。 1/30(日)『異邦人』の基礎が『幸福な死』らしい。 1/31(月)今月も生きた。 2/1(火) その1哲学には死の美しさを感じ取る器官がない、だから私たちはみな…
ファンタジーの定番ともいってもいい妖精。美しく、煌びやかで、鮮やかな、愛くるしい小人。マスコットと言っても差し支えのない妖精。 でも妖精ってそもそもなんなんでしょう? ご案内しましょう。 妖精と呼ばれる存在とそのあり方について民話などから何回かに分けて紹介します。 ①妖精ってそもそもなに? ②妖精の分類について ①妖精ってそもそもなに? 妖精ってなんでしょう。 「精霊のような極小の不可思議な自然的物体の集合体」とスピリチュアルな存在として書かれているものもあります。 オカルトの類と一蹴される存在だったりもします。 民話の世界の妖精といえば、キリストが生誕するよりも前に亡くなった人間、異教徒(キ…
■2021年の仕事 今年は例年にも増して、全速力で駆け抜けた年という印象です。抜けがあるかもしれませんが、備忘のために主だったものをまとめてみました。 ○編集・小説創作・翻訳『再着装(リスリーヴ)の記憶 〈エクリプス・フェイズ〉アンソロジー』(アトリエサード、9月) ○翻訳ジョエル・マーラー&キース・A・アボット『怪奇の国のアリス+怪奇の国!』(グループSNE/書苑新社、2月)ケン・セント・アンドレ「ゾルのモンスター迷宮」(「GMウォーロック」Vol.2、7月)ラース・ブルーメンシュタイン&ロブ・ボイルほか『エクリプス・フェイズ ソースブック サンワード』(共訳、新紀元社、8月)アンディ・ロー…
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「ナイトランド・クォータリーvol.27 蟄居/幽閉/籠城 〜潜み棲む恐怖」が、2021/12/8頃に発売となります! 幻視者のためのホラー&ダーク・ファンタジー専門誌《ナイトランド・クォータリー》。 vol.27の特集は「蟄居/幽閉/籠城」。 コロナ禍において、ステイホームが叫ばれた昨今だが、閉じこもる/閉じ込められる「蟄居/幽閉/籠城」の状況は、さまざまな物語を紡いできた。そこに潜み棲む恐怖を照射してみよう。〜〜〜 小説は、マイクル・ムアコック、C・J・チェリイ、デボラ・ビアンコッティ、ポール・S・パワーズ、ヨハネス・ウルツィデル、カーロン・ウォーレン、片理誠、高原英理。また、山田和子イン…
◼️『ケルトの神話』井村君江(1983年/日本) ケルトの神話―女神と英雄と妖精と (ちくま文庫) 作者:君江, 井村 筑摩書房 Amazon 目次 1. 古代アイルランドの神話 2. ケルト民族のふしぎ 3.「天地創造神話」のない神話 4. ダーナ神族の神話 5. アルスター神話 6. フィアナ神話 7. さらに知りたい人へ 1. 古代アイルランドの神話 井村君江著『ケルトの神話』。著者は比較文学者で、ケルト・ファンタジー文学研究家の肩書きも持っている。古代アイルランドの神話である「ケルト神話」をわかりやすく紹介した本で、構成は以下のようになっている。 はじめに―― ケルト民族のふしぎ I.…