今回はチャイコフスキーの交響曲第5番についてお話します。 チャイコフスキーの円熟期にあたる1888年の作品で、交響曲第4番とは作曲時期に10年の隔たりがあります。 4つの楽章からなり、演奏時間は約42分です。一つの主題が全ての楽章に登場し作品全体に統一感を与えています。この主題は「運命」を象徴しているとされており、第1楽章の冒頭で暗く重々しく提示されますが、第4楽章では「運命に対する勝利」を表すかのように輝かしく登場するといった具合に、登場するつど姿を変えます。第1楽章と第4楽章は序奏とコーダがあるソナタ形式です。緩徐楽章である第2楽章は極めて美しい旋律をもち、第3楽章にはスケルツォの代わりに…