別るとてはるかに言ひしひと言《こと》も かへりて物は今ぞ悲しき 前斎宮は、別れの御櫛をいただいた時、 美しい帝が別れを惜しんでお泣きになるのをおいたわしく思った。 (朱雀院に by 前斎宮) 〜別れの御櫛をいただいた時に 仰せられた 「京(みやこ)の方(かた)に赴きたまふな」の一言が 京にに帰った今となっては悲しく思われます 【第17帖 絵合 えあわせ】 「この御返歌はどうなさるだろう、 またお手紙もあったでしょうが お答えにならないではいけないでしょう」 などと源氏は言ってもいたが、 女房たちはお手紙だけは源氏に見せることをしなかった。 宮は気分がおすぐれにならないで、 御返歌をしようとされ…