はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と四十二 「ニトウリュウ ノ オトコ」 高校生たちのパワーみなぎるベーコンに舌鼓を打っているうちに、ふと、すっかり忘れてしまっていたある若者のことが脳裏に現れる。 少し前のことだが、たまたま、その、若い人形遣いと出会う機会を得たのである。 「能」好き、「能」推し、である私は、能ほどではないまでも、その親戚筋(?)にあたる(かもしれない)人形浄瑠璃、文楽、にも、無論、それなりに愛を注いできたつもりだし、これからもそうしたいと思っている。 そんな人形浄瑠璃の、若き人形遣いである彼によれば、とにかくこの世界は奥が深い、深すぎる、ということであった。少しでも油断をす…