人情紙風船 山中貞雄監督作の『人情紙風船』を観ました。 浪人侍の海野又十郎と髪結いの新三を中心にとある長屋に暮らす人々を描いた作品です。 歌舞伎の演目『梅雨小袖昔八丈・髪結新三』を脚色した作品のようで、新三が質屋の白木屋の娘・お駒を誘拐し身代金を得るプロットはそのままです。 ただそこに浪人侍の海野又十郎が加わったことで今作はとても悲しい人情物となっています。 タイトルの『人情紙風船』は紙風船のように軽い人情という意味が込められてとしか思えません。 今作はまず長屋で首を吊って死んだ浪人侍の実況見分を行う与力や岡っ引きを取り込む長屋の人々が映されます。 ここで新三は死んだ侍のために通夜をやろうと長…