一条真也です。わたしは、これまで多くの言葉を世に送り出してきました。この際もう一度おさらいして、その意味を定義したいと思います。今回は、「死は不幸ではない」という言葉を取り上げることにします。ちょうど30年前の1991年に上梓した『ロマンティック・デス〜月と死のセレモニー』(国書刊行会)で初めて示した言葉です。 『ロマンティック・デス』(国書刊行会) わたしは「死は不幸ではない」ということを日頃から考えています。「不幸」の反対は「幸福」です。物心ついたときから、わたしは人間の「幸福」というものに強い関心がありました。学生のときには、いわゆる幸福論のたぐいを読みあさりました。それこそ、本のタイト…