2019年8月号掲載 毎日新聞夕刊報道グループ記者(当時)/藤原章生 ハンセン病の元患者や家族への差別に対する国の責任を認めた今年6月の熊本地裁判決を、国側が控訴しない方針を7月9日に発表した。患者を隔離し、偏見をなくすための教育を怠った国が責められるのは当然だが、「住民にも責任」という毎日新聞の見出しが目を引いた。 「差別を除去する責任は国だけではなく、『無らい県運動』の実動部隊となった都道府県や住民にもある」という内田博文・九州大学名誉教授のコメントに添えられたタイトルだった。 世界中にはあらゆる差別がある。状況は年々改善されているかに見えるが、トランプ米大統領誕生に象徴されるように、いま…