その少年は四歳で光を失った。 両眼失明という過酷な現実。あまりにも巨大な運命の重石が、小さなその背にいきなり振り落ちて来たわけである。 もしも私が、同じ境遇に置かれたならばどうだろう。果たして耐えることができただろうか。いや、考えるまでもない。とてものこと不可能だ。 我が読書熱はこのころ既に旺盛で、暇さえあれば『日本昔話』とか、『ドラえもん』の単行本を紐解いていたがためである。甚だしきは飯時もこれを手放さず、ために米粒ぽろぽろと、次から次へとおっこぼれ(・・・・・)、その澱粉質の働きににより頁と頁をくっつけてしまった憐れな巻が、結構な数に上ったものだ。物を粗末にするんじゃあないと、叱られたこと…