前略、今川勉 様。 貴君の訃報に接し、いささか狼狽しながら、この手紙を書いています。 私は、貴君の事を、ほとんど何も知らないのです。 けれども、私は貴君の叩くドラムの音を、自身の生活のなかで、知らず知らずのうちに、何万、何十万回と聴いて生きてきました。 だから貴君の死は、自身の生活の一部が、すっぽり失われたような感覚に陥らしめる出来事であったわけです。 こうしているうちにも、貴君のドラミングの木霊(ECHO )が、私の頭の中で幾重にも鳴り響いています。 貴君について、私はそれだけの関わりしか持たない男なのですが、それでも私の中の衝動を抑えることはなかなか難しく、それに身を委ねることにした次第で…