少し前に、今敏監督の「千年女優」が全国の映画館で上映された。2001年の作品で、いまではなかなか映画館で見ることはできない。図書館の帰りに、ふとこの作品が上映されていたことに気づき、思わず足を運んだ。 名女優の語りが紡ぐ、映画と人生の物語 「千年女優」の冒頭は、名女優「藤原千代子」のドキュメンタリー映像の編集作業の様子から始まる。最初に登場するドキュメンタリーの監督(立花)は、情熱に強く引っ張られており、空回りしているかのような印象もあるが、どことなく憎めない。その監督に同行するカメラマン(井田)は、立花の情熱に所々呆れながらもついていく。この井田の一歩引いた立場が、この映画にとってはとても重…