【要旨】 政策研究は、政策立案や意思決定過程を対象としたもののみならず、その政策をいかに実現していくかという観点からの研究も求められている。本稿は労働政策の実現手法に対する関心から、その行政手法を取りあげ、とくに労働基準行政における企業名公表制度について検討を行った。本稿ではまず、行政手法全般についての共通の分析視角を提供することを企図して、経路(①使用者/②使用者→労働者/③労働者)、時制(A事前/B事後)という観点を提示した。企業名公表について、先行研究は制裁的機能と情報提供機能に整理するものが多いが、本稿では以上の分析視角に基づいて、制裁的機能(①-A)、予防(②-B)、第三者保護(③-…