企業が他の企業の全体もしくは部門を買収すること。買収元企業が、買収先企業の株式を現金または株式交換により取得し、一定割合以上を保有することで、買収先企業の支配権を得る。議決権を有する株式の2分の1超を得ると、普通決議(役員の選任等)の賛否が自由に決められ、3分の2超を得ると、特別決議(定款変更等)の賛否も含めて、完全に支配権が得られる。
シャープの元社長である町田勝彦氏が日本経済新聞のインタビューで、2016年の鴻海(ホンハイ)精密工業による買収について「マイナスだった」と発言していました。 シャープ元社長の町田勝彦氏、鴻海による買収「マイナスだった」 - 日本経済新聞 買収直後のシャープは、鴻海流の圧倒的なコスト削減とスピード経営により急速な黒字化を果たし、「日台アライアンスによる再生の成功モデル」と称賛されました。しかし、近年の液晶市場の環境激変と業績の再悪化により、堺工場の大型パネル生産停止をはじめとする再度の構造改革を余儀なくされています。 この発言を単なる心情論とするのではなく、一次情報として捉え直したとき、日本のハ…
企業分析・M&A NTTドコモ 企業買収の黒歴史失敗の本質と買収された側の真実 海外で1兆5千億円の損失、国内でも相次ぐ撤退——「モバイルを核とした総合サービス企業」の夢は何故潰えたか NTTドコモは2000年代から2010年代にかけて、「通信だけでは生き残れない」という危機感のもと、国内外の数多くの企業を買収してきました。しかし、その結果は惨憺たるものでした。海外では総額1兆5千億円超の損失を計上し、国内でも「食」や「ライフスタイル」をテーマにした買収は次々と失敗に終わっています。本記事では、ドコモの主要な買収事例をひとつひとつ検証し、失敗の構造的な原因と、買収された企業側が置かれた状況につ…
新学期がはじまったので、しばらくブログの更新ができなかった。この間、大型の企業買収の報道があいついだ。 ひとつはNXHD(傘下に日本通運)がカナダの物流大手メトロサプライチェーングループ(MSCG)を約2,070億円(18億カナダドル)で買収するというもの。一定の業績を達成した場合、最大460億円(4億カナダドル)の追加支払いも定められている。 NXHDによると、MSCGの連結純利益は、2023年9月期が12.55億円の黒字、2024年9月期が18.86億円の赤字、2025年9月期が2.53億円の黒字。2025年の純利益をもとにすると、PER818倍、業績のよかった2023年の純利益をもとにし…
パナソニックは1万人を超える大規模なリストラを実施する一方で、過去に巨額買収した米企業の収益化に苦労している。 パナソニックは、2025年5月9日、2027年3月期までに国内と海外それぞれ5千人、合わせて1万人の人員削減をおこなうと発表。そして、2026年2月4日、パナソニックは早期退職希望者が多いため、人員削減の規模が1万2千人に拡大する見込みであると発表した。これにより、2027年3月期の収益改善効果は従来見通しの1320億円から1450億円に拡大するとされている。 その一方で、パナソニックは過去に巨額買収した米企業の収益化に苦労している。パナソニックは、2020年に物流管理ソフトなどを手…
2026年2月26日(木)、旭化成はドイツの医薬品開発会社アイキュリス(Aicuris)を約1431億円で買収すると発表した。 旭化成によれば、アイキュリスの2025年の売上高は約240憶円(1.32億ユーロ:1ユーロ=180円で計算)。従業員は約70人。同社は非公開企業のため、これ以上詳しい財務状況はわからない。日経新聞によれば、旭化成は2030年度に同社の売上が750億円規模に伸びると予想している。 一見割高なようにも見えるが、製薬業はヒット薬がでると業績が急変化することがあり、他業種のM&Aと単純には比較できない。日経新聞によれば、2024年に旭化成が約1700億円で買収したスウェーデン…
光学系部品メーカーのオキサイドは、2023年3月1日付でイスラエルの光学結晶メーカーのライコル・クリススタルズを約34億円で買収したが、その業績がおもわしくない。 ライコル・クリスタルの2022年の売り上げは1200万ドル、純利益は20万ドル。現在の1ドル=159円を当てはめれば売上は19億円、純利益は3200万円。PER100倍以上での買収ということになる(買収当時は今より円高のため、買収時の実際のPERはもっと高い)。ちなみに、買収直前2023年2月期のオキサイドの売上は約58億円、純利益は5.6億円。 日経新聞によれば、オキサイドの2025年3-11月期連結決算は最終損益が3億1300万…
2024年10月、家電メーカーとして世界的な知名度を誇った船井電機が、破産手続き開始決定を受けました。創業から60年以上の歴史を持つ名門企業の、あまりにも劇的な最期でした。 船井電機破産、不可解な資金の流れ 出版社が買収後3年半、347億円の現預金ほぼ枯渇 - 産経ニュース この破綻の背景には、かつてのフィリップスとの提携失敗に加え、経営再建を目指した二度のM&A戦略が、致命的なリスクとなった「負の連鎖」が存在します。 特に衝撃的なのは、船井電機を救済するために乗り出した買収元(出版社グループの秀和システム)すらも、その買収の重荷に耐えきれず、後に破綻したという事実です。 この**「船井・ミュ…
著者の作品を結構数多く読んで来ている。しかし、著者がビジネスものを書いていたことを知らなかった。本書が私にとっては著者のこのジャンルとのファースト・コンタクトである。他にビジネスものがあるかどうか・・・知らない。 さて私の読後印象では、「膠着」というタイトルは違う局面を重ねた掛詞だったんだ、ということになる。 主人公は丸橋敬太。三流私立大学を出て、就活に苦労しようやく入社できた会社がスナマチ株式会社。営業部に配属された新人さん。かつては砂町糊本舗という名前の糊の販売業者だった。それが伝統的な糊の他に、ラテックス系や合成樹脂の接着剤、瞬間接着剤なども手がける接着剤の総合メーカーになった。まさに「…
2023年6月、産業革新投資機構傘下のJICキャピタルは、半導体材料大手JSRを9000億円で買収している。JSRの有価証券報告書によれば、2023年3月期の純利益は266億円。単純計算で、元をとるのに34年ほどかかる計算になる。PER34倍での買収である。 私は、日本企業による海外企業の買収がしばしば割高な買い物となっており、その後に行き詰まることが多いことに関心をもっているが、産業革新投資機構による投資後の実績についても違う観点からであるが関心をもっている。 買収後の2024年3月期のJSRの純利益は300万円の赤字、2025年3月期の純利益は1920億円の赤字と、買収後に業績が信じられな…
日経によれば、NECは米CSGシステムズ・インターナショナルを4417億円で買収することを発表した。 CSGの年次報告書によると、2023年の純利益は6624万ドル(99億円:1ドル=150円)、2024年の純利益は8685万ドル(130億円)。CSGの負債、買収資金の借り入れ利息を無視して単純計算すると、2024年の純利益が続く場合、元をとるのに34年ほどかかる計算になる。 ただ、2022年から2024年にかけて純利益が毎年2000万ドル(30億円)ほどの増加を続けており(売り上げはほぼ横ばい)、収益環境は良好であることを示している。 個人的には、海外企業の買収は、日本企業に相手の収益を改善…