生首正太郎:伊原青々園 1900年(明33)金槙堂刊。前中後全3巻。時事新報連載136回。 明治から昭和初期にかけて作家および劇評家として活躍した伊原青々園(1870~1941)(本名:敏郎)は20代の頃「あをば」という筆名で新聞小説を書いていた。これは「あをば」の著作本の奥付に彼の本名が書いてあったことから判明した。 『生首正太郎』は明治初期に阪神と京浜の両方でピストル強盗を繰り返した犯罪実録を物語風に書き直したもので、時事新報に長期にわたって連載され、芝居にも脚色されたという。その仇名は、肩先に男の生首を口に咥えた女の刺青をしていた事による。当時は捜査情報が共有されることが少なく、犯人が高…