かくてイザナギの命が左の目をお洗いになつた時に御出現になつた神は 天照《あまて》らす大神《おおみかみ》、 右の目をお洗いになつた時に御出現になつた神は月讀《つくよみ》の命、 鼻をお洗いになつた時に御出現になつた神はタケハヤスサノヲの命でありました。 以上ヤソマガツヒの神からハヤスサノヲの命まで十神は、 おからだをお洗いになつたのであらわれた神樣です。 イザナギの命はたいへんにお喜びになつて、 「わたしは隨分《ずいぶん》澤山《たくさん》の子《こ》を生《う》んだが、 一|番《ばん》しまいに三人の貴い御子《みこ》を得た」と仰せられて、 頸《くび》に掛けておいでになつた玉の緒をゆらゆらと搖《ゆら》がし…