翻訳家、評論家、アンソロジスト。1942年生まれ。 浅倉久志と並ぶ、日本最強のSF翻訳家。 『SFマガジン』誌上に連載していたSFスキャナーにおいて多くの海外SFを日本に紹介。(翻訳活動も含めた)後の日本のSFシーンに多大な影響を与える。 また、カート・ヴォネガットの翻訳に際して採用した文体は、村上春樹にも影響を与えたといわれる。 一時、活動を休止していたが、1996年に『アインシュタイン交点』(サミュエル・R・ディレイニー)の出版で復活。
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「これからどうすればいいんでしょう? 本はぼくらを助けてくれるんでしょうか?」「必要なものの三つめが手にはいりさえすれば。ひとつめは、最前いったとおり、情報の本質だ。二つめは、それを消化するための時間。そして三つめは、最初の二つの相互作用から学んだことにもとづいて行動を起こすための正当な理由だ。しかしながら、この老いぼれと、物事に幻滅した昇火士が、ゲームも終盤におよんだいま、なにほどのことができるのか、はなはだ疑問だな……」「ぼくは本を手にいれることができます」「そのような危険を冒すつもりとは」(レイ・ブラッドベリ『華氏451度』ハヤカワ文庫、2014) こんばんは。前回のブログ記事にたくさん…
吸血鬼は夜恋をする 伊藤典夫 編訳 創元SF文庫 ★★★★★ とっても面白いです タイトルを見て即買いました。 私は魔法使いと吸血鬼は大好物なので♪ 吸血鬼物の短編アンソロジーかと思ったのですが、 SFとファンタジーのショートショート傑作集でした。 予想とは違ったのですが、抜群に面白い。 なぜかと言うと、50~60年代の作品が中心だからです。 (30年代が2作、40年代が1作含まれています) この時代は今と違って、SFとファンタジーの境がはっきりしなかった。 それが私にはぴったりなのです。 もう、全32編をワクワクドキドキしまくりながら読了しました。 面白かった♪ ♥ よくもまぁこれだけのこと…
吸血鬼は夜恋をする: SF&ファンタジイ・ショートショート傑作選 (創元SF文庫)作者:ヤング、マシスン他東京創元社Amazon 伊藤典夫が初めて単独編纂した同タイトルのアンソロジイ(ショートショート23編)に、 〈SFマガジン〉〈奇想天外〉の掲載作9編を追加した、全32編。 「理屈抜きで楽しんでいただけるような小品を選ぶよう心懸けた」と、 翻訳者あとがきにあるように、ちょっとした時間にちょこっと楽しめる作品ばかり。 傑作アンソロジーという風に構えないで、気軽に手にするのが良いだろう。 ショーショートばかりで、32編と数が多いので、 恒例のベスト3だけでなく、ベスト5、ベスト10も選出してみよ…
文庫版『オーラリメイカー(完全版)』の書き下ろし 「オーラリメイカー」と「虹色の蛇」も加筆されているようなので、それらを読んだうえでまとめて記事にした方がいいかなとも思うのだけど、とりあえず先にこれだけ読んでしまったので。 春暮康一『オーラリメイカー』 - logical cypher scape2春暮康一『一億年のテレスコープ』 - logical cypher scape2を読んだ後、この「滅亡に至る病」というタイトルを読んで、もしかして何か関係しているのか? と思って読み始めたのだが、特に何か関係しているというわけでもなさそう。 連合への勧誘に訪れた惑星で、名もなき種族の代表は、自分たち…
本書は、カート・ヴォネガット・ジュニアの戦時中の体験を元にした半自伝的な小説である。 スローターハウス5 作者:カート ヴォネガットジュニア,伊藤 典夫 早川書房 Amazon タイムトラベルによる細切れの場面展開、四次元視点による生と死の観測、異星人との邂逅。自由意志の価値。『タイタンの幼女』を源流とした60年代著作のいわば総決算ともいうべき本書は、著者の特質上、同一キャラが他の作品でも活躍するスターシステムを採用しているので、旧作を読んでから本書を見るとニヤリとさせられる箇所が多々ある。 彼が長年描いてきたテーマでもある、得体の知れない巨大な力を前に翻弄される人々の描写は、著者自身のリアル…
10/14にXのスペースで実施した、怪談作家蛙坂須美さんとのおしゃべりのアーカイブです。ふたりで自宅の本棚を眺めつつ無軌道雑談しました。 podcasters.spotify.com どういった文脈で出てきた本かは聴いてからのお楽しみ。 ここではリストだけ公開します。 ※多分、漏れはない、はず・・・ 灰色のミツバチ 作者:アンドレイ・クルコフ 左右社* Amazon 夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く 作者:奈倉有里 イースト・プレス Amazon ある晴れたXデイに カシュニッツ短編傑作選 作者:マリー・ルイーゼ・カシュニッツ 東京創元社 Amazon 現代思想2024年9月号 …
【週末息子と見る映画】のKONMA08がお送りする自己満足ブログ 【08映画缶】 間もなく開演です!! No.1217 【2010年】(1984年作品) 今回はチラシです。 《解説》 いま、なにか素晴らしい事が起きようとしている! 1968年の初公開以来、全世界でいったいどれほどの人々を魅了し尽くしてきただろうか…。あらゆるSF映画の中の最高位にランクされ、かつSFの枠をはずしてもなお映画史上に燦然とその名を輝かせる名画の中の名画…それが【2001年宇宙の旅】である。 あれから16年―― 不朽の名作【2001年宇宙の旅】の続編が遂に完成!これは単なるヒット作品の続編ではない。その後の宇宙開発の…
note.com 【連載#1】サイエンス・フィクションのなかの言語実験たち(鯨井久志) 第1回 ハーラン・エリスン |作品社 作品社のnoteで連載がはじまりました。言語実験的なSF作品の訳文と原文を対照して分析&紹介する……という名目の記事です。 第1回ではハーラン・エリスン「プリティ・マギー・マネー・アイズ」「死の鳥」(伊藤典夫訳)の原文と訳文の対照などをしております。あと未訳作品の紹介も少し。 連載は初めてなので、おっかなびっくりといった調子でやっております。どうか温かい目で見守っていただけると幸いです。 なぜ作品社で連載を……? という辺りは、無事連載が続いて書籍になったら、そのときに…
カート・ヴォネガット『スローターハウス5』(Slaughterhouse-Five, or The Children's Crusade: A Duty-Dance With Death、1969年)を読みました。 www.hayakawa-online.co.jp きっかけは1945年の第二次大戦敗戦から「恥辱」軸でWeb小説を説こうとする小論*1を見かけたことだった。「そんなんが許されるんなら俺は1968年や!」と思い、1968年から1945年を見つめる『スローターハウス5』を手に取った。どういうこと? いや本当は、夏の間ずっとWeb小説を読んでいて、Web小説らしいWeb小説を書きたくな…
大切なご本を丁寧に買取させて頂きます。いつでもご相談くださいませ。 お電話:090-8839-9159 メール:shirota@mx71.tiki.ne.jp 本の買取強化中です。JR小倉駅北口「小倉の古本屋」古書城田 JR小倉駅北口(新幹線口)の古本屋、古書城田です。北九州市内をはじめ福岡県内&近県、本の出張買取、本の遺品整理を行なっています。大量歓迎です。査定無料、出張費無料です。どうぞご相談くださいませ。 古物商許可証 [第32483号/福岡県公安委員会] 全国古書籍商連盟北九州古書組合所属 店舗はJR小倉駅北口、徒歩1分の場所にございます。ファミリーマート小倉駅北口店さんのすぐ裏手とな…
なぜか回を重ねるごとに長くなっている「文芸誌を一年間読んでみるチャレンジ」。初回のさっぱりした感じが懐かしくもあり、寂しくもあるのは、この企画も残すところ2回となってしまったからでしょうか?himasogai.hateblo.jp読めるときもすこぶる読めないときも、一緒に走り抜けてきた文チャレ企画。ぜひその輝かしいゴールを皆で一緒に迎えようじゃありませんか! ここから参加して2ヶ月間を共に走ってくれる方もカムカムウェルカム。文芸誌を読んで「#文チャレ」タグをつけて感想を投稿するだけで何となくぼんやり参加できる、史上最もゆるい類の読書会です。 そんなこんなで、今月の文チャレの様子をぜひご笑覧くだ…
ランキング参加中読書 引き続き積んでたSFマガジン消化につとめたので本自体は少なめ。 ◆『19世紀ロシア奇譚集』 19世紀ロシア奇譚集 (光文社古典新訳文庫 K-Aタ 1-1)光文社Amazon「アルテーミー・セミョーノヴィチ・ベルヴェンコーフスキー」アレクセイ・トルストイ 馬車が壊れ、とある村の奇妙な家主のいる屋敷に世話になることになる。ちょっとしたユーモア短篇といった作品だが、この家主がダメ発明家なのが楽しい。 「指輪」エヴゲーニー・バラトゥインスキー 資金繰りに窮した主人公は、裕福だが変わり者という人物に相談する。ホラーあるいは因果応報的な話に収束するかと思いきや。いい作品で、多少雰囲気…
エヴァのタイトルにもオマージュされたことのある、タイトルはよく聞いたことのあるSF小説『世界の中心で愛を叫んだけもの』を読みました。 世界の中心で愛を叫んだけもの (ハヤカワ文庫 SF エ 4-1) 作者:ハーラン エリスン 早川書房 Amazon 『世界の中心で愛を叫んだけもの』は「ハーラン・エリスン」作の短編集です。あまりこういうSF小説は読んだことがなく、正直よく意味が分からなかった話もありますが、ザッとそれぞれの感想を書いてみたいと思います。
読書記録は 月一とは限らない。ランダムに 記録していきます。今月は、 がんがん読むぞ~!!起きてすぐ読む。隙間時間に読む。 29. Crying in H Mart: A Memoir Michelle Zauner著Crying in H Mart: A Memoir CRYING IN H MART [ Michelle Zauner ] 韓国人の母とアメリカ人の父を 持つミュージシャンの著者が、母親の死、アイデンティティ、 バンド活動や結婚などの 人生のイベントを、主に 食を通じて綴った一冊。 今の自分の状況と 重ね合わせてぐっときました。他者の死を乗り越える時、 思い出が支えてくれる …
1968年発表の『2001年宇宙の旅』、1982年の『2010年宇宙の旅』に、1987年の『2061年宇宙の旅』ときて、1997年には本作を発表。とうとう一作目から1000年が経ってしまった。どこまで行く気なの? と思ったら、これがシリーズ完結篇である。それにしても、『終局への旅』とは不吉なタイトルだ。因みに、原題は『3001: The Final Odyssey』である。 『2001年』で、機密を帯びて木星に向かう途中、アメリカ合衆国宇宙船ディスカバリー号に搭載されたコンピューター HAL9000の反抗により、宇宙へ放り出された船長代理並びに専任士官フランク・プールが、海王星付近で漂流してい…
The Lovers(1952)Philip José Farmer フィリップ・ホセ・ファーマーの『恋人たち』(写真)は、ふたつの点で革新的なSFといわれています。 それまでほとんど扱われてこなかった「セックス」と「宗教」を取り入れたためです。 宗教に関しては、ユダヤ教を発展させた社会を描いたらしいのですが、何かを語れるほど詳しくないため、割愛します。 セックスについては、それ以前は勿論、それ以後も同様なテーマが積極的に用いられたとはいえません。ガードナー・ドゾアの『異星の人』のような作品はあるものの、読者の性的興奮を齎す「性愛SF」といったジャンルは生まれませんでした。 その理由については…