昔からそうだった。多分物心ついた時からがんばってきた。がんばって取り繕うことだけが、すべてだった。それがわたしの生存戦略で、それがいつしか生き甲斐で、そうでないと見放されてしまいそうな気がしていて元気な私を、明るい私を、光っているほうを、見せてきた。けど、本当の自分はずっと暗くて、深くて、静かで、粗雑で、小さくて狭い洞穴のなかで夜が来るのを待っている怪物みたいな人間なんだけど。きっと誰もそんな私を望んでいない。昔、お客さんが言っていた今いる自分が本来の自分なのか、役割によるものなのか分からなくなる話。今ならすごくすっごくよく分かる。本当の自分はどれで、わたしはどんな自分でいることが正しくて、健…