とある群馬県の古刹だった。古刹の裏手には湿地と澄んだ沼があった。数年前に来た時には気づかなかったが砂利敷の駐車場の隣にアスファルトの大きな駐車場があった。それほど有名とも思えぬこの場所にはやや不釣り合いな大きさだった。しかしその一角に真新しいカフェがあった。若い女性がにこやかに笑いながら店先で客引きをしている。普段ならスルーするのだがあまりに素敵な笑顔だったので帰路立ち寄ってみた。ちょっとした甘みや軽食、手作りのお弁当を売っていた。そこはキッチンカーも備えていて、日や時間によっては何処かに売りに行くのかもしれなかった。 三十代だろうか、若い夫婦が切り盛りをしていた。オリジナルデザインの今川焼を…