野口先生は人間を調べるためにとにかく自分の目だけを頼りにしていました。 世間には「野口整体は西洋医療を全否定…」などという誤解をしている人もいるようですが、そのような偏見ではなく、野口先生は物事を無垢な目で見ることに余念がなかったのです。 むしろ西洋のものだから全面的に正しいはずだし、勝(すぐ)れているはずだ、という考え方のほうが歴史的事情による偏見です。 こういう考え方は欧米列強の圧力に屈して開国を余儀なくされた時からはじまり、さらに敗戦によって強化された自己卑下と羨望の産物でしかありません。 西洋には西洋なりの世界の見方があり、人間の見方があります。その視座、見る角度から浮かび上がってくる…