犬と散歩に出かける。ユクの目は真剣そのものだ。あらゆる場所の匂いをかぎ、キョロキョロしながら、時に立ち止まり、後ろを振り返っては、何かを調べているような面持ちで歩く。それが毎日のことなのに、まるで生死をかけた一大事のようだ。そんなに懸命で、くたびれないのだろうか。 ギリギリを攻めるユク坊。 犬には興味がないのに、犬の匂いには大変興味があるという、少し変わった犬である。一体そこにどのような情報が含まれているのだろうか。匂っただけで「あぁ、あの犬の匂いだな」と分かるのかもしれない。あるいは、かつて駅にあった伝言板のように、匂いを通してお互いにメッセージのやり取りでもしているのだろうか。 記念撮影に…