私が当初、仲代達矢氏などの役者の声に、より可能性を見出したのは、 ポピュラーということもあるのですが、リアルな声というのを直に感じたからです。 日本人の声と日本語のことばの、少なくとも、舞台での理想的モデルというのが、見えたのです。そこから、冨田浩太郎氏の統一音声論#などで、声楽と役者声との融合を自分なりになしたのです。俳優座とのつながりもあり、最初の一歩をそこで踏み出すこともできました。 仲代達矢氏の声は、低中音域を基調とし、胸腔や背部まで、ひびく深い共鳴を備えていました。 彼は、単に声を張るのではなく、空間に通す発声で、観客の心を包み込みました。 せりふの前後におかれる吸気、間、言葉の抑揚…