ビルの端を染めて始まる冬一日 三浦亜紀子 p.9 冬の早朝、日の出間もない朝日がビルの端を明るく照らしている美しい景。 忘らるる木陰に石蕗の花明り 宮口喜代子 p.11 普段なら見過ごしてしまう薄暗い木陰に明るく黄色い石蕗の花が咲いて鮮やかだ。 廃線の径真っ直ぐに鬼やんま 原田清正 p.11 真っ直ぐという力強さと鬼やんまの大きくふてぶてしい強さ。それらは何を表現しているのか明確に把握しきれていないのだが、何かしら深い詩情を感じる。 月の蝕見てゐる穴の小啄木鳥かな 山下誠子 p.13 月食で欠けた黒い「穴」と小啄木鳥がそこから顔をのぞかせている巣穴。無生物と生物の違いはあれ、この世に存在するも…