哲学の一分野。 倫理学はさらに、メタ倫理学(meta-ethics)と規範倫理学などに分かれる。また、倫理学研究の中から出てきた成果を現代的な諸問題に応用しようとする、応用倫理学なども注目を集めている。
入手しやすい入門書としては、加藤 尚武『現代倫理学入門』(講談社,1997)や川本隆史『現代倫理学の冒険―社会理論のネットワーキングへ』(創文社,1995)などが定評がある。
運命を愛せよ。与えられたものを呪うな。生は開展の努力である。生の全てを愛せよ、そして全てを最も良く生かせよ。(和辻哲郎) 一条真也です。言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回の名言は、大正・昭和時代の哲学者、倫理学者、文化史家である和辻哲郎(1889年~1960年)の言葉です。兵庫県(現・姫路市)生まれで、『古寺巡礼』『風土』などの名著の著者として知られます。 古寺巡礼 (岩波文庫) 作者:和辻 哲郎 発売日: 1979/03/16 メディア: 文庫 風土―人間学的考察 (岩波文庫) 作者:和辻 哲郎 発売日: 1979/05/16 メディア: 文庫 日本を代表する哲学者の1人であり、…
引き続き、以下の本の読書メモです。 児玉聡(2010)『功利と直観 英米倫理思想史入門』勁草書房 本記事は「第二章 ベンタムたちの攻撃」です。
「産み」の哲学については、今後参照にすべき文献もかなり見えてきたこともあり、またネット上で読める文献に限界があるのもあって、小休止します。また図書館行って本を漁れるようになったら再開しようかと。 ということで、今日から手元にある本を読んでいこうかと思っています。まずは以下の本を。 児玉聡(2010)『功利と直観 英米倫理思想史入門』勁草書房 とりあえず、1章ずつまとめていこうかと。目標は1週間で。ちょっとずつ読めていけばいいかと思っています。 本書は、「功利主義」と「直観主義」の対立を中心に英米の倫理思想史を論じています。現代の功利主義は一般的に「義務論」と対比されることが多いが、これは20世…
本日も快晴。 これからちょっと身体をハードに動かそうと思う。意気込みだけかもしれないが。 先ほどまで本を読んでいた。 凄く考えさせられる本だった。なかなかそういう本は出てこない。 何の本?という問いには答えない。人それぞれに感受性も生い立ちから人生経験も違うから。 考えさせられたのは「神は存在するのか?」という考え。 いつも良く、ふざけて言ってたのですが、 「神がいるならば、相当にサディステックな魔女みたいなヤツだな」と。 その考えを一蹴された感じに読後になってたからですね。 作中に「神なんていないけれど、人間が己惚れて、堕落しない様に、【ある何か】 が必要だし、必要だから人間より上の者が作ら…
メンデルスゾーンはヴォルフ学派に属する思想家であり、ベルリン啓蒙の時代を生きた当時を代表する知識人である。 今回私が抄訳したテキストは、『形而上学における明証性についての論文』(Abhandlung über die Evidenz in Metaphysischen Wissenschat) であり、カントを凌いで一位を獲得した懸賞論文として有名である。これは、ベルリン・アカデミー哲学部会が「形而上学的真理一般、特に自然科学と道徳の第一原則が、数学的真理と同じ判明な証明を持ちうるか否か」という当時の哲学界の関心事をテーマとして公募した懸賞論文である。この小論において、メンデルスゾーンはヴォル…
カントといえば義務論、義務論といえばカント。これがいまだに倫理学の教科書の鉄板である。しかし、カントの義務論倫理学は、カントがゼロから編み出した独自の思想ではない。倫理学における義務づけの思想は、18世紀ドイツにおける自然法論、とりわけグロティウスやプーフェンドルフらの義務論の影響下で形成されたものである。義務論としての倫理学は、カントが大いに影響を受けたヴォルフやバウムガルテンらによっても展開されていたが、現代ではカント倫理学の専売特許のように語られることが多い。それだけではカント解釈としても限界がある。ここでひとつ、カントの思想形成を追うため彼の時代にさかのぼって文脈をとらえる作業が必要で…
デニスのこの論文はCambridge Companion to Kant and Modern Philosophy (2006) に所収されているもので、カントの徳概念について学ぶ者にとっては必読文献の一つといっても過言ではないと思っています。基本的なところが非常に明瞭に説明され、無視されがちな側面にも十分な注意が払われており、私も大いに勉強させられました。カント倫理学についての優れた研究であることは間違いないと思うので、部分的に、かつ簡単にですが紹介させていただきます。 まず、デニスはカントの徳についての説明を以下の六つに整理する。 ①道徳法則への尊敬から自らの義務を遂行する心構え [Ge…
グーグルで人工知能(AI)の倫理を研究していたティムニット・ゲブルが解雇されたニュースは2020年の終わりのニュースとしてはかなり衝撃的に受け止められました。なぜか。職場における差別の要素もあるのですが、AI倫理の重要性がかなり大きくなってきているからではないでしょうか。ビジネスと倫理のバランス。これはグーグルのような営利企業にとっては非常にデリケートな問題です。 今回紹介するブライアン・クリスチャンによる"The Alignment Problem"は「人間と機械の利害は合致できるのか」という倫理を含めた幅広いAIに関する問題を扱った非常にタイムリーな書籍となりました。AIの何が問題で、どの…
ウィリアム・マッカスキル著の「〈効果的な利他主義〉宣言! ――慈善活動への科学的アプローチ」がめちゃめちゃ面白かったので簡単な紹介を。あと最近の自分の行動について色々考えさせられたのでそれも。 〈効果的な利他主義〉宣言! ――慈善活動への科学的アプローチ 作者:ウィリアム・マッカスキル 発売日: 2018/11/02 メディア: 単行本 本著は「効果的な利他主義」という考え方についての紹介本である。ものすごくざっくり説明すると、「世界をよりよくしようと慈善活動なんかをやるなら、より大きい効果のある活動をしよう。そのためには証拠を元にした合理的な活動が必要である」というもの。基本的には功利主義的…
池田晶子さんは、 「人を殺してはいけないということを、実は問いを立てている時点で既に知っているから」 「その問いこそが答えだ」 と答えた。 他の人は、 「秩序が乱れる」「法で禁止されている」「かわいそうだから」 道徳的なことを考えるだろう。 そして僕の答え。 「何故人を殺してはいけないのか。という問いを立てるため」である。 僕は何が言いたいのか。 この問いによってかどうかはわからないが、まず倫理学が生まれる。 倫理を考える際、統治について、つまり政治学も生まれる。法学も生まれる。 生まれるというよりは、発展するが正しいか。 そして、倫理学・政治学・法学部分的には公共哲学へと発展した。 人は考え…
Ethics. エシクス、倫理学
ソクラテス以前の哲学者たちの議論を概観したところで、もう一度ソクラテスに眼を向けることにしましょう。とはいえミレトス学派に始まる万物のアルケーの探求は、実際のところソクラテスの主な関心事ではありません。彼が求めたものは、何よりも「人間として善く生きる」ということ、またそのために実現するべき「徳」の問題でした。 しかし「徳」を論じるソクラテスの立場を理解するためには、彼に先立つ人々の思想、理論的背景が欠かせません。ここではソクラテス以前の哲学史を振り返りつつ、倫理学の祖としてのソクラテスが登場するまでを見ていきたいと思います。
道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 発売日: 2004/04/09 メディア: 単行本 カーネギーの著書『人を動かす』には、「人の立場に身を置く」や「笑顔を忘れない」など様々な原則が、書かれている。 この原則が、世界中の人々の心を打ち、『人を動かす』は未だにベストセラーになっている。 参考:人を動かす 文庫版 人を動かす 文庫版 作者:D・カーネギー 発売日: 2016/01/26 メディア: Kindle版 この著作の中で書かれている原則はすべて「いつでも・どこでも・誰にでも」当てはまる。 このような原則の最上位にある法則を『道徳形而上学の基礎づけ』(以下『基礎づけ…
道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 発売日: 2004/04/09 メディア: 単行本 カントの「義務」概念は、カント道徳哲学での主要概念のひとつである。 この概念は自らの主観的原理を意味する「格率」や「汝の格率が普遍的法則となることを、その格率を通じて汝が同時に意欲することができるようなそうした格率に従ってのみ行為せよ」(Ⅳ,421)とある「定言命法」とも、深い関係がある。 われわれが一般的に使用する義務という語と対比させながら、カントの「義務」概念について今回は概括的に解説する。 1.辞書で一般的な義務を確認するー「義務を果たす」・「納税の義務」 まず始めに、一般…
今回の記事は過去に私が書いたものを再構成したものだ.私はリバタリアンであり,同時にveganである.しかし,この関係性について纏まった議論はあまり見かけたことがなく,*1日本ではveganを冷ややかに見るリバタリアンも少なくない。しかし、動物への危害を否定するという意味では,そうまで躍起になって否定する話ではないというのが私の考えである. この記事では最初にリバタリアニズムとはそもそも何なのかを簡単に説明したあと,リバタリアニズムが動物倫理の世界で何が言えそうなのかについて簡単な所見を述べる. Ⅰ.リバタリアニズムとは何なのか 1.概説 リバタリアニズムとは,日本語訳にした場合に「完全自由主義…
業界体系 日本大学=日本大学高等部=日本大学中等部=日本大学初等部 日本大学=法律事務所=サイマル=グローバルキッズ(未定) 日本大学=マルハニチロ=日本水産=グローバルキッズ(未定) 職業体系 大学教授=高等学校教諭=中学校教諭=小学校教諭 音楽教師=法律家=通訳=幼稚園教諭 美術教師=食品衛生管理者=食品衛生責任者=保育士 企業体系 営業職=一般事務職=経理職=企画職=広報職=マーケティング職=人事職 レベル領域範囲階層体系 第1位=第4位=第7位=第10位 第2位=第5位=第8位=第11位 第3位=第6位=第9位=第12位 順位体系 第1位=人間力あり=社会力あり=学際力あり=教育力あり…
毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。「今が旬のAクラスに属する逸品」といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 「在学中に本を100冊読もう」を合言葉に、全国の大学生協が「読書マラソン」運動を展開しているそうです。 大学生が4年間にどれだけ本を読むのでしょうか。月2冊ペースで4年間で約100冊に達しますが、この月2冊ペースはなかなかハードルが高いように思います。でも「読書マラソン」というペースメーカーのような働きがあると、いい運動になると思います。 先だっては「第16回全国読書マラソン・コメント大賞」が決まり、東京外国語大・祝迫さんが大賞とな…
近内悠太さんの「世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学」を読んだので内容を自分なりにまとめていく。 本の中で、「贈与」とは人が必要としているがお金では買えないもの、およびその移動のこととしている。家族や友人、恋人といった人間関係であったり、仕事のやりがいや思いやりの気持ちなどであったりだ。僕たちはお金で買えないからこそ、それらに深く思い悩んでしまう。 しかし、何もかもお金で手に入る世の中になってしまったら、信頼は生まれない。「何かを差し出すから、何かを得ることができる」という交換の原理に囚われてしまうからだ。交換の原理が全ての世の中になってしまうと、何も持っていない状況では…
有名人の本棚を勝手に解析する本棚探偵、第三弾。 なんかコロナが落ち着いてきた(アメリカ基準でね)せいで、自宅の本棚の前からリモート中継出演してくれる有名人が少し減って、従来のスタジオでの出演に戻ってきている感じ。いいことなんだろうけど、本棚探偵としては寂しい・・・。 憧れのあの人の本棚が見られるのも今だけかも? ということで、楽しみましょう!! 今回は、以下の4名の御方々の本棚を探偵しました。それぞれのお方の人となりが出ている本棚です。 アマンダ・ゴーマン アマンダ・ゴーマンさん、PBSの番組出演映像より 今、アメリカで一番勢いある女の子の一人。 これまでもすごかったとは言え、バイデン大統領の…
「スラムドッグ$ミリオネア」という映画をご存じでしょうか? 貧しい少年が「クイズ$ミリオネア」に挑戦するのだけど、無学なはずの彼が、難しい問題を次々正解していく。なぜ、そんなことができたのか。それは、出てくる問題の答えを、彼は知っていたから。 なぜかは分からないが、まるで神様が導いてくれたみたいに、出てくるマニアックな知識クイズの答えに、彼は「偶然」自分の人生のなかで触れていたことがわかる。クイズの問題の進行に合わせて、彼の波乱万丈の人生が回想形式で語られていく。 ……という、この立て付けを思いついた時点で勝ち確、といった感じのとても面白いストーリーを持った映画である。 この映画の思い出話を友…
2月分.
定時起床。シリアル、朝刊。 朝、小雨。娘をバス停まで送り、自転車を押して大学へ。午前中は主に研究室の床や机に積んであった本を整理する作業。著者からいただいて御礼をしていない本もあり、申し訳ありません。 お昼、某購買部に買い出しへ。ベジラーメン。 お昼すぎ、某君に手伝ってもらって仕事。今年度の研究費を最後まで使う作業もする。今年は旅費を使わなかったので、その分書籍を多く買うことになった。昼下がりまで。 夕方、しばらく雑用。雨の降る中、自転車で帰宅。 夜、某オンライン大会実行委員会。大会テーマなど。夕食。食後、しばらく娘とスイッチや夕刊など。 夜中、風呂。 メモ https://t.co/03kd…
最近は高校入試の話から遠ざかり気味なのは、大学受験生の指導に力を割きがちだからである。特に現代文については指導にコツがいるので、直接指導しているというわけだ。現代文の対策の基本は、「語彙力強化」「読解練習」「概念の拡張」だ。(以前どこかの記事で書いたかも)今回は「概念の拡張」について話しておきたい。 結局のところ、知らない話でも、その話に出てくる言葉の意味と論理さえつかめれば、解答を書くことくらいはできる。しかし、自信をもって解答を作成したい場合は、やはり内容が自分の中で腑に落ちるような状態になれるといいだろう。どうして入試の現代文で、わけのわからない話が多く出てくると感じるかというと、日本の…
みなさん、こんにちは。 美学者の難波優輝です。 最近修士論文を提出し、最後の口頭諮問で教授に「ナンバさんはこれまで一番手のかからない院生でした。ほっといても勝手に何かやっているので」と言われました。 当の教授はぼくがラスト院生の一人だったはずなので、「もうちょっと教授にいろいろ訊けばよかったかな……」と思いながら、なんとも言えない微妙にエモいような言うほどエモくないような空気が最後に流れました。なんかよかったです。 修論ではポルノグラフィの倫理学 / 美学をしていました。 lichtung.hatenablog.com 公開しているので読んでください。 最近は打って変わって廃墟について関心があ…
中国のウイグルの人たちに人権の侵害が行なわれている。それについて声をあげることは、日本の国内でおきている人権の侵害に声をあげることよりもより優先されるべきことなのだろうか。 何かよくないことが行なわれているさいに、それにたいして声をあげる。そのことについてを目的合理性と価値合理性の点から見てみられるとするとどういったことがいえるだろうか。 日本の国内で人権の侵害が行なわれているさいに、そのことにたいして声をあげる。それはその具体で個別のよくないことにたいして声をあげることだ。その具体で個別のことを放ったらかしにしておいてはならないとすることから声をあげることになり、そこには目的合理性があること…
画像引用元:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Frans_Hals_-_Portret_van_Ren%C3%A9_Descartes.jpg おはようござます!今回は近世哲学の父・デカルトの紹介をしたいと思います! デカルトと言えば「近世哲学の祖」と呼ばれる哲学史の超大物で、近代以降の哲学は彼を抜きにしては語れないほどの人物です。 私の大学時代の先生が言ってましたが、哲学者で打線を組むなら4番がカントで3番がデカルトであると。そのぐらいの大物なんですね。 しかし意外にもソクラテスやプラトン、アリストテレス、カント、ヘーゲル、ニーチェなどと比べて「…
◀︎ 前へ|次へ ▶︎️ 技術は人間の目的を実現するための手段として役立つべきものであるが,その人間そのものは,技術のための手段にすぎないというものではない。これは1つの倫理判断であり,こうしたいくつかの倫理判断について,多くの人は概ね合意できるかもしれない。しかし,具体的な倫理判断の根拠となるような,究極的,抽象的な倫理原理(以下,倫理理論ないし倫理学説に読替え可とする。)に関しては,倫理学上,複数の原理が並び立ってきた。こうした倫理原理に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。 ① 自分や他人が下した直観的倫理的判断を,その根拠にさかのぼって考えることで,批判的に検討することが大切…
哲学って謗法なんですか? アクセス解析では、絶不調のエピクテトスシリーズなんですが、私の煽りに乗っていただいて、お怒りのメールをいただきました。 お前なあ、信心してるのになんで哲学とか言うわけ?頭おかしいんじゃねえの?進撃の巨人と仏法は関係ねえし!お前、なんで哲学とかやってんの?謗法だろうがよ?お前のブログなんざ、二度と読まねえ。 差出人不明のフリーメールにての御質問、誠にありがとうございます。 間違いなく、質問者様は引き続き拙ブログを閲覧くださると確信しまして、公開対話にさせていただきます。 私見ではございますが、質問者様は法華講民であろうと推察しております。 創価民も顕正民も似たような見識…
・ 祭暦 オウィディウス 著 ; 高橋宏幸 訳 1994 国文社 ¥15,000 ・ 人魚の文化史 ヴォーン・スクリブナー 著 ; 川副智子, 肱岡千泰 訳 2021 原書房 ¥2,600 ・ シュルレアリスムと絵画 アルドレ・ブルトン 著 ; 瀧口修造, ほか訳 1997 人文書院 ¥6,000 ・ 高等魔術の教理と祭儀 レヴィ 著 ; 生田耕作 訳 1989(第9刷) 人文書院 ¥1,800 ・ バフォメット クロソウスキー 著 ; 小島俊明 訳 1989(第3刷) ペヨトル工房 ¥1,800 ・ ルーゴン家の誕生 エミール・ゾラ 著 ; 伊藤桂子 訳 2003 論創社 ¥9,000 ・ …