手遅れおじさん ドラッグストアのレジに並んでいた時の出来事。僕の前に、小さなお子さんがいた。言葉を覚えたてのようで、ひたすら喋っている。母親らしき女性はそれを適当に流している。実に微笑ましい光景だ。 そのうち、その幼子が僕を指差して「ておくれです」と繰り返す。 子供の言うことだから傷つきはしないが、確かに僕には手遅れの事が多いな、と改めて思ったのだった。もはや若くはない。中年という"状態"は、手遅れにさえ慣れてしまうものなのだ。 母親らしき女性は大変に恐縮して僕に謝罪する。しかし、僕だけでなく周りのお客さんも、それからレジの人も「子供の事だから」と笑っている。とても明るい雰囲気ではあるが、レジ…