【平家物語73 第3巻 大臣流罪】 法印からの話を聞かれた法皇は、 もうそれ以上は何事も仰有《おっしゃ》らなかった。 清盛の話を、もっともと思われたのではなく、 いっても無駄と諦めてしまわれたものらしい。 十六日になって、 突然関白基房始め四十三人の公卿殿上人に、 追放の命令が下った。 これは、かねがね清盛が考えてもいた事で、 世間では当然予測されていたのだが、 さすがに実際の命令が下ってみると、 いささか無理押しの感じは免れなかった。 関白基房は、 鳥羽《とば》古川《ふるかわ》のあたりで を下して出家した。 「こういう世の中では、 こんな目に逢うのも仕方がないことじゃ」 いさぎよい諦めの言葉…