元明天皇。第43代(707〜715)天皇。日本根子天津御代豊國成姫天皇とも。 天智天皇の第四皇女で、草壁皇子(天武天皇皇太子)の妃、先帝文武天皇の母。 文武天皇早逝後、持統帝にならい、その子の首皇子(聖武天皇)が幼少であったことから皇位を嫡孫に確実に継承するという理由で即位した。 皇后経験者ではない初めての女帝。 藤原不比等を重用し律令官制を整備。 和同開珎の鋳造、平城京遷都、『古事記』や『風土記』の編纂など。 娘の元正天皇(皇女氷高内親王)に譲位、太上天皇を称する。
●歌は、「大君の 命畏み 親びにし 家を置き こもりくの 泊瀬の川に 舟浮けて 我が行く川の 川隈の 八十隈おちず 万たび かへり見しつつ 玉桙の 道行き暮らし あをによし 奈良の都の 佐保川に い行き至りて 我が寝たる 衣の上ゆ 朝月夜 さやかに見れば 栲のほに 夜の霜降り 岩床と 川の氷凝り 寒き夜を 息むことなく 通ひつつ 作れる家に 千代までに 来ませ大君よ 我れも通はむ(1-79)」ならびに「あをによし奈良の家には万代に我れも通はむ忘ると思ふな(1-80)」である。 奈良市田原本町阪手 村屋坐彌冨都比売神社万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、奈良市田原本町阪手 村屋坐彌冨都比売神社にある…
訓読 >>> 76ますらをの鞆(とも)の音(おと)すなり物部(もののべ)の大臣(おほまへつきみ)楯(たて)立つらしも 77吾が大君(おほきみ)ものな思ほし皇神(すめかみ)の継ぎて賜(たま)へる我(われ)なけなくに 要旨 >>> 〈76〉勇ましい男子たちの鞆の音が聞こえる。物部の大臣が楯を立てているらしい。 〈77〉お仕え申し上げる大君よ、ご心配なさいますな。皇祖の神が、あなた様に次いでこの世に下し賜わった、私という者がお側にいるではないですか。 鑑賞 >>> 76は、元明天皇の御製歌。77は、76の歌に御名部皇女(みなべのひめみこ)が和したもの。元明天皇は、天智天皇の第4皇女で草壁皇子の妃、持…
訓読 >>> 飛ぶ鳥の明日香(あすか)の里を置きて去(い)なば君があたりは見えずかもあらむ 要旨 >>> 明日香の里をあとにして、奈良の都に行ってしまえば、あなたが住んでいたところは見えなくなってしまうのか。 鑑賞 >>> 和銅3年(710年)の2月に、藤原宮から寧楽宮(奈良の宮)に遷った時に、御輿を長屋原にとどめて、藤原宮を見たという歌です。作者名は記されていませんが、元明天皇とされます。「長屋原」は、現在の天理市にあり、ちょうど中つ道の中間点にあたります。中つ道とは、香具山からまっすぐ北に伸びた道で、大和国内には、上つ道、中つ道、下つ道という南北を平行して縦貫する3本の古道(大和三道)があ…
本コンテンツは、底本の発行当時の収録内容をもとに作成されています。 底本とは一部の表記・表現が異なる場合があります。 また、使用するリーディングシステムや機種によって、表示に差が認められる場合があります。 天皇の国史 竹田恒泰 はじめに 日本は天皇の知らす国である。 「日本とは何か」という問いに真しん摯しに向き合うと、自ずとこの答えに辿り着くのではないだろうか。明治時代、大日本帝国憲法を起草する大役を担った天才官僚の井いの上うえ毅こわしは、第一条を書くために、『古事記』『日本書紀』をはじめとする国史に関係する膨大な量の本を読み込んだ。憲法の冒頭に日本の国柄を、つまり「日本とは何か」を簡潔に書く…
弥彦神社 先般のNHK「ブラタモリ」に新潟県の長岡市と燕三条が紹介されていて、その際に弥彦神社が出てきた。それほどメジャーという印象ではないが、古い歴史と重厚さを感じさせる神社だ。 古くは越後一宮で、延喜式の名神大社。旧社格は国幣中社だったが、現在は神社本庁の別表神社になっている。祭神は伊夜日子大神(いやひこのおおかみ)として天香山命(あめのかぐやまのみこと)を祀るとのこと。「伊夜日子」は弥彦のことだろう。 神社の由緒書きには次のように記されている。 社伝によると天香山命は第六代孝安天皇元年(西暦紀元前392年)二月二日に越の国開拓の神業を終えられ神去り坐して神劒峰(弥彦山)に葬られ、御子であ…
これまで、古代における転換期に大きく関わっていた二つの海人勢力のことを書いてきた。 一つは、安曇氏(海部氏や、その同族の尾張氏、和邇氏を含む)と呼ばれる勢力で、もう一つは、紀氏(越智氏や平群氏も含む)と呼ばれる勢力だった。 古事記において、黄泉の国から逃げ帰ったイザナギが禊をした時に、綿津見三神と住吉三神が生まれ、アマテラス、ツキヨミ、スサノオの三貴神が生まれたのは、その後である。 イザナギの禊の時に生まれたこれらの神々は、古代日本における転換期の再秩序化に関係している。なぜなら、カグツチの誕生でイザナミが亡くなって黄泉の国の住人になってしまうというのは、古代日本における重要な転機を象徴してい…
犬との旅行プランナーのキャンディ🐶です。 犬と一緒に旅に行くときのお手伝いをします。 奈良県橿原市在住で、普段、SNSで奈良県内明日香村、橿原市、桜井市、高取町などの愛犬と行ける史跡などの旬の話題を紹介しています。 今回、奈良県内のコスモスの名所、奈良県橿原市にある藤原宮跡のコスモスの2023年9月17日現在の開花状況を愛犬と紹介します。藤原宮跡のコスモスは、一度は行きたいコスモス畑として有名で、約30,000㎡の敷地に約300万本のコスモスが咲き誇り、大和三山も望む景観とともに色とりどりの花畑を楽しむことができ、犬連れも含め多くの旅人が訪問する場所です。 (参考)令和4年10月9日(日)9時…
古事記や日本書紀に出てくる初期の人皇家は 皇位継承をめぐって血族同士の殺し合いをしている かのように描かれている。 けれど、実際は人種が違うのだと思う。 そもそも人皇初代の即位にしても それ以前の「神話」にしても 殺しが無いわけではないのだけれど 「血族同士の殺し合い」が酷くなるのは 偽の仁徳天皇・大鷦鷯や雄略天皇ら 高句麗系の疑いがある「倭の五王」からで 藤原氏や桓武天皇が権力を握るまで テロや陰謀が繰り返されている。 前世の私にも落ち度はあっただろうけれど 「血族同士の殺し合い」をしてる皇族全てを 「自」とは感じないのもまた事実だ。 あれを「自」と感じる方は、 かなり危険人物ではなかろうか…
ここ数日で、「日置」と「額田部」を軸にした長大な文章を書いた。 なぜ、今、あえてこんなことを書いているのかというと、私たちの足下の歴史の捉え方が大きく歪められてしまっていれば、現在を生きる私たちの世界観や人生観も歪んでしまって当然だと思うからだ。 歴史教育が年号や人物名の記憶優先になってしまって、その背景にまったく踏み込めていないことについては多くの人が問題視しているが、問題はそれだけでなく、私たちが植え付けられている歴史観が、まるでハリウッド映画のように、ヒーローと悪人、勝者と敗者の組み合わせストーリーで処理されてしまっている。 飛鳥時代に蘇我氏という強い奴が突然現れたが、横暴な振る舞いが続…
古代日本は、100年単位で、大きな変革を遂げている。 西暦400年頃、後の東漢氏や秦氏につながる渡来人が大挙してやってきて、この頃から古墳が超巨大になり、副葬品として、武器や馬具などが多く含まれるようになった。 西暦500年は、今来という新しい渡来人が大挙してやって来て、訓読み日本語の創造や、後の官僚制につながる新しい政治機構をもたらした。豪族たちの氏姓制度なども、この頃から始まるが、この時代に即位したのが、第26代継体天皇だった。 西暦600年は、17条憲法(604年)が制定された推古天皇の時代で、この頃の政治の中心、飛鳥の住民の80%以上が渡来系だったとされる。 西暦700年は、大宝律令(…
文字霊日記・3354日目 ↓↑ 田=㗊=伝字捜=でんじそう(田字草) =四葉のクローバー🍀・・・田斎⇔田姜 ↓↑ Sentimental JourneyDoris Day www.youtube.com Sentimental Journey・・・「感傷・失恋・傷心」旅行 Frank Sinatra - Sentimental Journey - YouTubehttps://www.youtube.com/watch?v=rKNE4JPN6pc&ab_channel=LauroFilho www.youtube.com ↓↑ 四葉のクローバー🍀=four-leaf clover=lucky …
【277】現代語訳 古事記 現代語訳 古事記 (河出文庫) 河出書房新社 Amazon 【17/07/20】712年(和銅5年)、太安万侶がまとめて元明天皇に献上されたのが最初。福永武彦氏による現代語訳(後年、子息の池澤夏樹氏も現代語訳を出版している)。世の始まりの混沌、神々が誰を娶り、誰が生まれ、どのような所業をしたのか。謀や暴虐も満載。半ば以降、すっ飛ばしながら読んだ。あまり感情移入はできませんでした。何か、解説・入門的な新書を図書館で探してみようと思います。
●歌は、「東の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ」である。 富山県氷見市葛葉 臼が峰山頂公園地蔵園地万葉歌碑(柿本人麻呂) 20230704撮影 ●歌碑は、富山県氷見市葛葉 臼が峰山頂公園地蔵園地にある。 ●歌をみてみよう。 四五~四九歌の歌群の題詞は、「軽皇子宿干安騎野時柿本朝臣人麻呂作歌」<軽皇子(かるのみこ)、安騎(あき)の野に宿ります時に、柿本朝臣人麻呂が作る歌>である。 (注)軽皇子:草壁皇子の子。天武・持統の孫。後の文武天皇。歌の時一〇歳。(伊藤脚注) (注)安騎野:奈良県宇陀市の山野。この野への遊猟は持統六年冬。(伊藤脚注) ■巻一 四五歌■ ◆八隅知之 吾大王 …
●歌は、「秋風の吹き扱き敷ける花の庭清き月夜に見れど飽かぬかも」である。 石川県羽咋郡宝達志水町臼が峰往来(石仏峠)万葉歌碑(大伴家持) 20230704撮影 ●歌碑は、石川県羽咋郡宝達志水町臼が峰往来(石仏峠)にある。 ●歌をみていこう。 ◆安吉加是能 布伎古吉之家流 波奈能尓波 伎欲伎都久欲仁 美礼杼安賀奴香母 (大伴家持 巻二十 四四五三) ≪書き下し≫秋風の吹き扱(こ)き敷(し)ける花の庭清き月夜(つくよ)に見れど飽かぬかも (訳)秋風が吹きしごいて一面に敷いた花の庭、このお庭は、清らかな月の光の中で、見ても見ても見飽きることがない。(伊藤 博 著 「万葉集 四」 角川ソフィア文庫より…
東大寺のあとにお参りに行った春日大社では、神の使いの鹿がお出迎えしてくれました。 こちらは緑鮮やかな若草山。 紅白のサルスベリも。 鷺池に浮かぶ浮見堂。 これで奈良公園エリアを離れて自転車で西へ移動して平城京跡へ向かいます。 平城宮跡 歴史公園。奈良公園は観光客で賑わっていましたが、こちらはほとんど人がいない。第一次大極殿の復原工事を中心に国営公園としての整備が現在進行中です。とはいえ、非常にゆっくり・のんびりペースのようです。(ここでは「復元」でなくて全て「復原」の文字が使用されていました) 1998年に復原された平城京の正門である朱雀門。1998年だからすでに25年前。25年経過してるけど…
今日の写真は、奈良にある世界遺産のうちの一つである薬師寺が舞台です。現在世界で日本旅行がブームですが、中でも奈良の奈良公園の鹿は人気絶大です。今はSNSで話題が瞬く間に世界に広まりますから、人気の場所は一気に有名になってしまいます。そこで、世界で経済と時間に余裕がある人にとっては日本は格好の訪問先なのかもしれません。日本は世界の先端を行く文明国でありながら1000年以上前の歴史を体験でき、独自の文化を楽しめる貴重な場所なのですから。アジアでそんな国は日本しかありません。1枚目は薬師寺三重塔を背景にしています。 2枚目は創建時からのオリジナルであり国宝の東塔から西塔を見た場面です。この建物の美し…
< 33 > 継体天皇の「神武東征」 *第26章の後が適切な配置かも。29章まで書き終わった後で知った話。 最近、とあるブログで、「前方後円墳の大半は 被葬者が1人であるのに対し、前方後方墳は 複数の被葬者がいる事が多い」という事を知りました。 前方後円墳は前段階の円墳や円形周溝墓の頃から、 前方後方墳も前段階の方墳や方形周溝墓の頃から そうした傾向があるらしく、円墳のある地域では 一人に権力が集中していたのではないかと推測され、 方墳のある地域では共同統治のような形だったのではないか、 と推測されるわけです。 前方後方墳はニギハヤヒ朝ヒノモトの故地に多いですから そういう事もあるだろうと思い…
秩父市に鎮座する聖神社(ひじりじんじゃ)。 金運アップのパワースポットとして有名です。 平日に行ったので比較的空いてましたが、 土日はかなり混雑するそうです。 雨だったからか、賽銭箱のところにお守りなどが無人販売されていました。 そこに書き置きの御朱印を発見!! (土日は直書きしてもらえるらしいです) 聖神社 本殿 聖神社 本殿 聖神社 本殿 聖神社 御朱印 それとこの「福財布」。 通帳や宝くじなどを入れておくとお金が増える・宝くじが当たるといった ご利益があるそうです。 見るからに金運がアップしそうです。 聖神社 福財布 聖神社 福財布 聖神社の近くに日本最古の流通貨幣「和同開珎」ができるき…