母には「男の子を産んだ」というプライドがありました。 母の出自は九州の田舎で、本当に山奥でした。 8人兄弟の末っ子で母の兄弟のほとんどが結婚し、授かった子供たちは皆女の子でした。 そんな中、母だけが唯一男児である兄を産みました。 母はそのことを誇りに思っているようでした。 ですが私にはその事がよく理解できませんでした。 母の実家は確かに田舎でしたが、特に閉鎖的な空気も、女系の家系であることに否定的な空気も感じませんでした。 確かに親戚からは 「結局男の子はお前(母)のところだけだったなぁ」 「跡継ぎができて良かったなぁ」 なんて言われていましたが、そこに特別深い意味を感じる事はありませんでした…