今月残る一部を観劇。入りは三部の中では少なかったが、それでも九割方は入っていたであろうか。確かに狂言立ては三部の中で一番地味であったかもしれない。新歌舞伎に松羽目物の舞踊劇と云う組み合わせ。しかし各優熱演で、他の部に引けを取らない盛り上がりを見せてくれていたと思う。 幕開きは『ゆうれい貸家』。山本周五郎原作の新歌舞伎で、初演は先々代松緑と梅幸の組み合わせであったと云う。前回の歌舞伎座での上演は何と十七年前の様で、今回演じた巳之助と児太郎それぞれの父である亡き三津五郎と、福助のコンビであった様だ。配役は巳之助の弥六、児太郎染次、新吾のお兼、福之助の鉄造、鶴松のお千代、青虎のお勘、寿猿の友八、勘九…