1958年生まれ。専攻は哲学。現職は青山学院大学准教授。大陸哲学よりも、分析哲学に重きを置いている。 単著としては、以下のものがある。
時間は実在するか (講談社現代新書)
哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する! (ちくま新書)
ウィトゲンシュタイン 「私」は消去できるか (シリーズ・哲学のエッセンス)
時間と絶対と相対と ―運命論から何を読み取るべきか (双書エニグマ)
相対主義の極北
〈思考する〉英文読解 (駿台レクチャー叢書)
一条真也です。『アントニオ猪木とは何だったのか』入不二基義・香山リカ・水道橋博士・ターザン山本・松原隆一郎・夢枕獏・吉田豪共著(集英社新書)を読みました。本書の帯には、リング上で対戦相手にインディアン・デスロックを掛ける猪木の写真とともに、「猪木について考えることは喜びである。」「哲学者から芸人まで7人の論客が不世出のプロレスラーの謎に迫る。」と書かれています。 本書の帯 カバー前そでには、「2022年10月1日、享年79。不世出のプロレスラー、アントニオ猪木は死んだ。わたしたちは「猪木ロス」を乗り越えて、問わなけれならない。わたしにとって、あなたにとって、プロレス界にとって、時代にとって、社…
早速ではありますが、みなさんは「予備校」という言葉を聞いて思い描くものは何でしょうか。考えている人の年齢によって大きく変わるだろうし、20代の私がイメージする予備校は、人気講師の授業は200人教室が締切になり、悪い言い方をすれば「宗教的な」要素もありながら、この先生の授業を1年間受けてモチベーションを高めながら、頑張りたいと思う講師についていくような予備校でした。おそらく、現在の40代から50代が経験した予備校とも異なるでしょう。予備校が抱えるイメージが異なる中で、現在の考える予備校も大きく異なり、以前の三大予備校(代ゼミ・河合塾・駿台)から四大予備校(東進・河合塾・駿台・武田塾)と変容をして…
運命論を哲学する【入不二基義】 運命論を哲学する (現代哲学ラボ・シリーズ 第1巻) [ 入不二 基義 ]価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/8/12時点) 楽天で購入 【こんな人におすすめ】 日本の哲学に触れたい方 →西洋哲学ではなく、日本独自の哲学に触れられます。 【感想】 自分には少し難しかったですが、これまで知らなかった知識に触れられて、興味深かったです。 運命論、という概念自体、初めて知りましちを 運命論にも物語的運命論や神学的運命論など解釈の違いがあります。 今回の論理的運命論はこれまでの解釈の運命論と二項論(何かに運命が決められるという考え)ではなくベタでのつながり…
とても素晴らしい本です。 「急に具合が悪くなる」 宮野真生子 磯野真穂著 晶文社 哲学者・宮野真生子と人類学者・磯野真穂の往復書簡。 2019年4月から7月まで。 たった4ヶ月だが、とても濃厚な書簡の遣り取りだ。 往復書簡をはじめたとき、宮野はすでにガンがあちこち転移していた。 患者としての振る舞い方。生きるとはどういうことなのか。罹患したのは偶然なのか、宮野と磯野の出会いは偶然なのか。そんな対話が続く。 宮野真生子は、2019年7月に亡くなっている。 私がこの本の存在を知ったのは、2024年5月。どこかで紹介されていたので興味を持った。でも、ガン患者との対話なので、内容が苦しかったら嫌だな、…
豊﨑由美『ニッポンの書評』(光文社新書)を読む。豊﨑は書評家の第一人者、本書は15年前に光文社のPR誌『本が好き!』に連載したもの。15講に渡って書評に関するテクニックを詳しく語っている。私もブログで書評の真似事をしているので大変参考になった。ただ、豊﨑は小説を書評の対象としており、粗筋やネタばらしなどが話題になっている。小説を取り上げない私のブログとは多少違うかなと思った。 さて、第12講に「新聞書評を採点してみる」と興味深いテーマが紹介されている。豊﨑が朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、東京新聞、産経新聞、日本経済新聞の6紙について、2009年4月26日に掲載された署名入りの書評を5段階評価(…
記事の内容 この記事では、これまで私が読んだ哲学・思想書を紹介します。 どれも読んでみて面白かった、学びになった本です。 まだまだ私自身、歩みの途中ですが、読書記録として、この記事にまとめておきたいです。 哲学や思想に興味ある方の役に立てれば、と思います。 それでは、目次をご覧ください。 記事の内容 そのほかのテーマの読書記録 本紹介 史上最強の哲学入門 飲茶 はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内 野矢茂樹 哲学の謎 野矢茂樹 1日で学び直す哲学 甲田純生 反哲学入門 語源から哲学がわかる事典 哲学思想史 問題の展開を中心として 哲学入門 戸田山和久 哲学トレーニングブック…
はじめに X上でなぜかしばしば直接的・間接的に絡んでくださる谷口一平氏が、次のようなポストを投稿していた。 永井哲学と入不二哲学の基本的な関係は、 θ=π/2つまり90度の回転である。すなわちそこでは、タテのもの(超越論的構成)はヨコ(横方向への展開運動)とされ、ヨコのもの(山括弧の存在)はタテ(垂直に働く現実性の力)とされるからである。もちろん、ただ回転しただけでは全然ないが。— 谷口一平 A.k.a.hani-an (@Taroupho) 2024年3月14日 永井哲学と入不二哲学の関係は π/2 らしい。 永井哲学か入不二哲学の一方のノルムが0の場合でも、内積は0になるけどね。 本記事で…
"究極的な正義"を志向して有意義な議論をすることは可能か。この問いに肯定的に答える理路は、概ね以下のようになるだろう。 正義の実在(もしくは実在の不在)を主張する場合、その実在に絶対確実の客観性が伴うものとして主張することはできない。なぜなら、「ある」も「ない」も、一つの信念・命題として意識され把握される限り、必ず「と私は考える」の形に回収することが可能だからである。従って、絶対確実の客観性をともなった正義の実在論(正義は絶対確実に存在する)や非実在論(正義は絶対確実に存在しない)など、実在に関する積極的な主張は全て未達に終わる運命にある。このような相対主義の洞察は、まずは正しい。ただし、その…
【あるようにあり、なるようになる】 『わが良かごつ、しはたせ❗』 これは、熊本地方の方言です。 『あなたが好きなように、やり遂げなさい』 という意味です。 『なるごつなる、なるごつしかならん』 これは、九州弁です。 『なるようになる、なるようにしかならない』 という意味です。 すべては、 あるようにあり、なるようになります。 あなたが好きなこと、 やりたいことをトコトンやり遂げてください。 なるようになります。 『思いわずらうな。なるようにしかならんから。今を切に生きよ』[釈尊(ブッダ)] 参考文献『あるようにあり、なるようになる――運命論の運命』(著者 入不二基義 講談社)https://a…
油断していたら足元を掬われた…最悪(さいあく) ☆* 全て等価に並べられてしまったのでどこから手をつければわからなくなりました…最悪(さいあく) ☆*☆* こんなに厄介だとは思わなかった。*1 ☆*☆*☆* 時間は物質だと思う……(サーモンより) ☆*☆*☆*☆* 空間芸術を時間芸術と捉えることを意識する前にあったのは、空間芸術を物質として考えることでした。 ☆*☆*☆*☆*☆* 物質は芸術ではないんですか ☆*☆*☆*☆*☆*☆* space - time - matter - sex ☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆* 90sec. ☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆* 暗闇を物質的だと知覚すること…
今週のお題「2024年にやりたいこと」 2024 年のテーマは「もっと手を動かそう」なんだけど、それとは別にあえてやりたいことをあげるなら、積読の解消だ その中でも特に、下記の 10 作品は読んでしまいたいと思っている 行方昭夫「英語のセンスを磨く」岩波書店 伊藤和夫「英文解釈教室」研究社 今年は英語がんばりたいので 入不二基義「問いを問う」筑摩書房 年末の旅行で移動中に同著者の「相対主義の極北」を読んでたんだけど、むちゃくちゃ面白かったので帰りに買ってしまった 井奥陽子「近代美学入門」筑摩書房 オタクをやっていて美学を避けて通るのは難しいのではないか、という意識だけはある 東畑開人「聞く技術…
入不二基義は、『現実性の問題』の第9章「『無いのではなくて存在する』ではなく」において「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか - Wikipedia」という形而上学的な問いについて次のように書いている。 「この形而上学的な問いを、私は『斜めから』眺めてみたい。ノージックやヴァン・インワーゲンのように『正面から』立ち向かうのではなく、その問いの媒介部分である『ではなくて』を疑問視したい。何かがあること(存在)と全く何もないこと(無)を『(一方)ではなくて(他方)』という排中律保存的な否定関係によって媒介することは、形而上学的な問いとして不徹底なのではないか。そういう疑念を持っているからである。…
アントニオ猪木とは何だったのか (集英社新書) 作者:入不二基義,香山リカ,水道橋博士,ターザン山本,松原隆一郎,夢枕獏,吉田豪 集英社 Amazon キンドルで購入。 著者によって出来の差が激しい。私が哲学愛好家だからということを抜きにしても、最初の入不二さんの文章が他に比べて圧倒的に素晴らしい。猪木の肉体や技という事実に対する確かな観察と、それに対する的確な批評が、丁度良い装飾と強い熱量で書かれている。 あとは水道橋博士が良かったかな。残念な方の人はあえて名前はあげません。
毎週日曜日は、この一週間(10/30~11/5)に週刊誌や新聞などの書評に取り上げられた旬の本を紹介しています。書評内容については各誌・HPをご覧ください。 今週の書評本 *表示凡例◆掲載された媒体: 発行号数 掲載冊数書籍タイトル 著者 出版社 税込価格 書評掲載回数(2回以上のもの) ◆サンデー毎日「遠回りの読書」: 11/12 号 2 冊原爆初動調査 隠された真実 NHKスペシャル取材班 ハヤカワ新書 1,078祝福 高原英理 河出書房新社 2,420 ◆女性自身「今週の本」: 11/14 号 4 冊素敵な圧迫 呉勝浩 KADOKAWA 1,980 ②日々のきのこ 高原英理 河出書房新社…