🌹源氏を尾行する頭中将【源氏83 第六帖 末摘花3】 「あまりにまじめ過ぎるからと 陛下がよく困るようにおっしゃっていらっしゃいますのが、 私にはおかしくてならないことがおりおりございます。 こんな浮気なお忍び姿を陛下は御覧になりませんからね」 と命婦が言うと、 源氏は二足三足帰って来て、笑いながら言う。 「何を言うのだね。品行方正な人間でも言うように。 これを浮気と言ったら、君の恋愛生活は何なのだ」 多情な女だと源氏が決めていて、 おりおりこんなことを面と向かって言われるのを 命婦は恥ずかしく思って何とも言わなかった。 女暮らしの家の座敷の物音を聞きたいように思って 源氏は静かに庭へ出たので…