○すでに随所で間接的に触れているが、感動体験(生成体験)とは人間にとって、人生にとって、いいかえれば教育にとっても何なのか、についてここでもう少し視野を広げて述べておきたい。 それは先回最後に紹介した「蕩尽は聖なるものを呼び起こし、『全体的人間』に立ち返る体験となる」(矢野氏)という表現が一つのヒントとなる。 またその記述は前項最初に紹介した「生成とのつながりで文化を捉え直すとき、文化のエッセンスともいうべき学校で教えられる各教科の意味も、いままでとは大きく変わることになるだろう」という認識ともつながると思う。*戦後教育における生成体験の欠如 まずずばり矢野氏がこの著作全体のモチーフとしている…