そこは大きく眺めのいい丘の上の公園だった。公園の中央には天馬の噴水があった。しっとりとした緑の芝生が敷き詰められ、その噴水を中心に路が四方に広がっていた。その路の両端には洒落たベンチが設置してあった。 カップルの為に作られたような公園だった。天馬は白い石像で顔は天を仰いでいた。その天馬は口から水を噴いていた。美しい造形であった。 菜緒は何度この公園の夢を見たかわからない。 数え切れない程同じ夢を見ていたのだ。夢だと自覚できる夢であった。筋書きは判で押してように毎回決まっていた。夢を見始めるといつも菜緒は一人で公園の入り口に佇んでいた。そして胸をときめかせて噴水の方に歩いていく。 なぜ胸をときめ…