このように臨済宗は、室町幕府の下で大きく発展することになる。室町幕府は鎌倉以来の禅寺の「五山制度」をそのまま受け継いだが、この室町期に五山は官寺としての組織化が徹底して進むことになる。 一例として、室町幕府には「禅律方」という役職があった。これは幕府が禅宗と新義律宗を統率するための役職なのである(この頃、新義律宗もまた大きな勢力を持っていたことが分かる)。 禅律方には頭人(とうにん)と奉行を置き、それに五山を統率させたのである。五山の下には、最終的には数千の末寺・塔頭が所属することになるのだが、この膨大な数の禅寺は室町幕府の管理の下、巨大なピラミッド型の官僚体制が構築されたのであった。 このよ…