20世紀は「戦争の世紀」といわれた。第1次に続く第2次世界大戦終結後も、世界の戦火は消えない。このうちアジアが戦場になったベトナム戦争、カンボジア紛争(内戦)では多くの記者たちが命を落とした。この中に共同通信社の石山幸基記者も入っていた。石山記者はカンボジア紛争当時、ポルポト派が支配する地区(いわゆる解放区)に取材に入ったまま消息を絶ち、家族の元へ戻ることはなかった。石山記者の妻、陽子さんが出版した『そして待つことが始まった 京都 横浜 カンボジア』(養徳社)は、戦場記者の妻の視点で描いた、長い家族の物語である。21世紀の現代、この世界は戦争に加え、目に見えない新型コロナ感染症との闘いに明け暮…