これほど引きこもって、なるべく世間と関わらずに、ちっぽけに暮しているのに、こんな隅っこにまで世界情勢が影を落してきたかと、一瞬は考えた。 大衆需要に応ずるべく、有名メーカーが研究・調整して商品化したものを、良いの悪いの申したところで、いたしかたもない。自分の味覚に合うか合わぬかだけの問題だ。 それも似たり寄ったりとなれば、末端販売価格の問題だけが残る。当然ながら、ロットの大きい商品ほど安いのが普通だ。「お徳用」というわけである。 ひと月ほど前から、行きつけのスーパーの棚から、わが愛用の「お徳用」十六袋入りコーンスープが、姿を消した。仕入れ手順のちょいとしたズレにすぎまいと、数日、やがて一週間と…