冬ごもりの時期が明け地上がうごめき始める頃 二十四節気の『啓蟄』の節季がやってきた。土の中に隠れ閉じこもっていた蛇や虫たちが春の訪れに気付き、再び動き始める頃である。雪の下に隠れていたふきのとうや山菜類も地上に目を出し始めている。この時期は地上の営みが活発になってくるのと同様に、人々の動きも軽やかになる時期でもある。 江戸時代にまとめられた『暦便覧』では「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出ればなり」と記されている。 まさに春本番がそこまで来ている時期である。何故か気温が上がるに従って気持ちもウキウキしてくる。きっと、冬眠中だった蛇や虫たちもそんな気持ちでいるはずだ。 青果店の店先にふき…