とある昼下がり、アーケード商店街の真ん中で、なんだかわからないものがなんだかわからない奴にひったくられるというなんだかわからない事件が発生した。警部補の不知火考介は、部下の突田込彦とともに現場へ直行した。 犯行現場となった宝石店の前には、ひとりの老婆が座り込んでいた。「あなたが通報者の下柳さんですか?」そばに腰をかがめた新米刑事の突田がそう尋ねた。「もうなにがなんだかわからんでな」 老婆は取り乱しているようで、まともに答えない。すると不知火が、にわかに確信めいた口調で助け船を出した。「いや、その人は通報者じゃないな。……知らんけど」「どっちなんですか?」突田は顔じゅうに疑問符を浮かべている。「…