Manhunter
トマス・ハリスのベストセラー小説『レッド・ドラゴン』最初の映画化。映画は良くも悪くもこの当時のマイケル・マンらしい出来上がりである。『ザ・キープ』同様に、幹を切り落として枝葉を残す脚色は、肝心な部分が原作を読んでいないと飲み込みにくい。その一方でディテールは素晴らしく、その為か意外にもファンが多い映画でもある。実際、夜の闇への偏愛、序盤に用意された緊迫感のあるアクション場面、ロックサウンドへの傾倒など、マイケル・マンらしさはよく出ているのだ。
プロデューサーのディノ・デ・ラウレンティスは、本作が批評・興行的に失敗した為に、持っていた『羊たちの沈黙』映画化権を譲り、同作の大成功で地団駄踏んだらしい。そこで『ハンニバル』を製作し、また『レッド・ドラゴン』再映画化を決断したのである。
レクター博士を演じたのはブライアン・コックス。当時はかなり痩せていた。