長い歴史の中で日本人が行ったもっとも恐ろしい行為は、特攻であろう。切腹も恐ろしいが、これは基本的に武士階級に限られた慣習で、かつ自主的にやるものであった。しかも太平洋戦争敗戦時はともかく、腹を切るという行為は歴史的にどれほど行われてきたかは疑問視されており、江戸時代に刑罰として用いられた切腹は、短刀の代わりである扇に手を伸ばそうとしたときに介錯されるというのが通例であったという。それに比べて特攻は、わずか80年前、世界が見ている前で、あからさまに行われたものである。人は追いつめられたところでその本質をもっともあらわにする。特攻こそ、日本人が行ったもっとも恐ろしい行為であるだけでなく、日本人の本…