この写真を撮ったのは、震災後の3月21日のこと。場所はJR大船渡線、一ノ関と盛の間にある、大船渡市末崎町梅神踏切。列車が通らなくなった線路が、何も言わずただまっすぐに、まっすぐに静かに山間に延びていた。 JR大船渡線 大船渡市末崎町梅神踏切付近 当時の空気を今でもはっきり思い出せる感が、まるで空も地面も声をひそめたように静まりかえっていて、鳥のさえずりや風が木の枝を揺らす音さえ、どこか遠く感じるような、そんな感覚。誰もいないはずの線路に、今にも列車の音が聞こえてきそうな感覚がある。 この場所にかつてあった日常。それは、気仙沼や陸前高田から通勤や通学で大船渡方面に向かう列車に乗り込む人々の姿であ…