「残秋」という、美しい響きのことばがあります。 残された秋。時候の挨拶としては立冬時期に使うものとされますが、立冬、つまり平年11月7日といえばこれからが紅葉の季節本番。ここで「残された秋」というのは、現実の季節感覚からは大きくかけ離れているように思います。 「残暑」というのも時候の挨拶上は立秋(8月7日頃)以後ですが、実際には暑さの盛りそのものの時期で、それなりに実感をもって「残暑」という感覚を持てるのは9月に入ってからというのと、事情が似ています。 「残秋」というのは、季節的には初冬にあたる12月前半、まだ色づいた木の葉も散りきらず、秋の名残があちこちで感じられるような時期に使った方が、実…