身こそかく しめの外《ほか》なれ そのかみの 心のうちを 忘れしもせず 朱雀院に by 斎宮女御 〜内裏の中は 昔とすっかり変わってしまった気がして 神にお仕えしていた昔のことが 今は恋しく思われます 儀式で使われた簪を少し折って返事を書いた斎宮女御 【第17帖 絵合 えあわせ】 大極殿の御輿《みこし》の寄せてある神々しい所に御歌があった。 身こそかく しめの外《ほか》なれ そのかみの 心のうちを 忘れしもせず と言うのである。 返事を差し上げないこともおそれおおいことであると思われて、 斎宮の女御は苦しく思いながら、 昔のその日の儀式に用いられた簪《かんざし》の端を少し折って、 それに書いた…