🪷【源氏物語490 第14帖 澪標64】宮は非常に内気で 羞恥心がお強くて 異性に声を聞かせることは 思いもよらぬようにお考えであった。 〜「失礼ですが、お母様の代わりと思ってくだすって、 御遠慮のないおつきあいをくだすったら、 私の真心がわかっていただけたという気がするでしょう」 などと言うのであるが、 宮は非常に内気で羞恥《しゅうち》心がお強くて、 異性にほのかな声でも聞かせることは 思いもよらぬことのようにお考えになるのであったから、 女房たちも勧めかねて、宮のおとなしさを苦労にしていた。 女別当《にょべっとう》、内侍《ないし》、 そのほか御親戚関係の王家の娘などもお付きしているのである…