これは僕が小学生の時の話。それは、綺麗な海だった。美しくも儚げで、そんな海とのお話。 僕の父親は漁師だ。小舟に乗り、夕方太陽が沈むと同時に、港から出ていく。そして、一時間ほど小舟を走らすと日振島という島に着く。そこを漁場にし、主にイサキという魚を捕る。なかなかの高級魚らしい。 僕が幼子のころの夢は、漁師だった。もう、それは、夢に見ていた。父さんと一緒に船に乗り、漁をして、市場に魚が並ぶのを夢見ていた。 ある時、9歳のときだった。そのときから親の手伝いと称し、いつも通り漁に行っていた。その日に起きた出来事だ。 時間は午後9時を回っていた。船のエンジンの音が聞こえる中、暗闇に一対の様な光は目下に主…