小学生だったころ、友達の履くシューズが羨ましかった。タテヨコ高さのどの方向も細く薄く引きしまった外観に憧れた。ソールは上から見下ろすとアッパーの影に隠れて見えないくらい極薄だった。アレを履けば僕も早く走れると夢想してやまなかった。 粘ってねばってようやく親を口説いた。週末にばあちゃんに連れられて街の靴屋に行った。目指すシューズを見つけ試し履きして驚いた。何も履いてないような軽さは空も飛べそうな気持ちにさせてくれた。正に天にも昇る心地。それまで僕が履いていたのはドテッ、ボタッとして見るからに鈍で重そうだった。溝はあるが平面が多くノッペリしたソールは厚く、走るとバタバタと音がしたもんだった。 月星…