ご招待を受けて、劇団昴の『マーヴィンズ・ルーム』を観に行ったのは、5月の終わりのことでした。 わずか33才でエイズのため亡くなったスコット・マクファーソン(1959-92)の戯曲で、家族にまつわる物語、ということ以外なんの予備知識もなく、東武東上線大山駅にある劇場、Pit昴まで行きました。 物語は、フロリダに住んでいるベッシーが病院で血液検査を受けるための採血の場面から始まります。ベッシーは年老いた寝たきりの父親マーヴィンと、電気麻酔器を装着している叔母ルースの介護をしながら暮らしている中年の女性。 父親マーヴィンは20年前に倒れたあと、介護が必要になってしまいました。うなり声をあげるだけのマ…